SJesterのバックステージ

音楽関連の話題中心の妄言集です。(^^)/
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Oslo Kammerkor : Strid

2015年06月07日 18時08分00秒 | 声楽・宗教曲関連
これが2014年にもっとも私が繰り返し聴いたであろうSACDです。


それまでの私の嗜好からすると、まったく射程外のこのディスク・・・
オスロ室内合唱団にによる「戦い~ノルウェーの伝承曲」と題された2Lレーベルの作品であります。

2014年2月15日に名古屋国際会議場で行われた「オーディオフェスタ・イン・ナゴヤ」で、たしかK先生とおっしゃるオーディオ評論家のセンセイが、ウィーン・アコースティックス社のスピーカーでハイレゾのデモをなさっていたときにかかったのがきっかけで手に入れました。

ノーススターデザイン社のDACの説明だったと思うのですが、私は機材ではなく音源が気になって仕方がなかった・・・。


入手に当たってたよりになる情報は「e-onkyo music」のサイトからファイルを入手されたということだけでした。
なにしろセンセイのご説明では、デモ曲の途中にラフマニノフの合唱曲が織り込まれていたのに「クラシックらしくない」なんてコメントが挟まっていたもので・・・私的には混乱してしまったのです。

いや、もちろん、ハードや使いこなしについてのプレゼンはブースの担当者と示し合わせながらでしたから事実としてきわめて正確だったのでありましょう。
ただ、楽曲へのコメントについては「?」となってしまった、そういうことです。


帰ってからe-onkyoのサンプル音源を片っ端から聴き始めたのですが、当時は2Lのことなんて何も知らず、「BISあたりがクサいのでは?」とあたりを付けちゃったためにずいぶん遠回りをしてしまいました。
なにしろ2Lのサンプル音源は、同サイトのレーベル一覧の一番上にあるのに・・・
玄関にある「お宝」を、それと知らず、家じゅう探し回る探検家(空き巣とはいいたくない)になってしまったわけです。


それでも、なんとかこのディスクを発見し(この根気をほかのことに生かせればと心底思うのですが)、3月1日にはSACDをオンラインで注文するに至りました。
そして・・・
心底、眼を見開かせられた、いや、耳を聴き開かせられたというわけです。


まず、録音の素晴らしさ。
密閉型のブックシェルフで聴いた(その後ウォークマンで聴いても)一聴でそれと分かる空間の広さ、透明感、どれだけホメても褒めたりないと感じたものです。
のちのち2Lレーベルの何たるかを知るにつけ「なるべくしてなった音」と得心が行ったものですが、ウソっぽいほどにいい音で鳴る。

もうひとつ、奏楽の凄さ。
上記の録音に支えられ・・・というか、録音のよさに負けず劣らず、いつ聴いても飽きさせないうえに惹きこまれてしまう素晴らしい歌唱・合唱です。

もちろん伝承曲とクラシックの合唱曲をミックスアップするというアイディアそしてアレンジの妙味も秀逸なんでしょう。
ここらへんはこの種のディスクを他に持ってないのではっきり言えませんが。。。

いまに至るまで、聴くたびに何らかの感銘を与えてくれる、音盤としては異例なほどコスパ最高の買い物となりました。



いまにして思えば・・・
この「オーディオフェスタに行くべ」とふと思い立ち、このディスクを手に入れたことが、小型(ブックシェルフ型)スピーカーの低音の限界を悟らせ、Electra1028Beを手に入れる決定的な伏線となったようにも思います。


それまでにもチェロ・ソナタを近接録音したディスク(たとえばECMレーベルのペレーニとシフのベートーヴェン)を聴いたりすると、なんか低音域がごまかされてるような気がしないでもなかったのですが・・・
「思いっきり低い男声は、実はスピーカーから聴こえていないのではないか」ととうとう気づいてしまいました。

トールボーイ・スピーカーであるSonus Faber のコンチェルト・グランドピアノを使っていたときには、ちゃんと低い音も出てると思っていた・・・これもホントはドローンコーンによる幻だったかもしれない・・・ので、しぜん「やはりエンクロージャー(容積)のでっかいスピーカーが欲しい!」となっちゃったわけです。

その後さらに詳しく2Lレーベルのことを知り、ネット上の同好の志による各種情報などからも、同じようなコンセプトのレーベルの手になるSACDが手許に次第に増えてゆきます。

そして(仕事外における)根気のよさがまたしても発揮され、出物を待つ日々が過ぎてゆき、とうとう幸運の女神の前髪をガッと摑んだ結果、とにもかくにもElectra1028Beが今ここにある。。。


前回の投稿同様、スピーカーのことばかり書いていてディスクについてのコメントはほとんどないですが、私が今に至るまでに欠かせなかったディスク・・・
制作者にしてみればまったく与り知らないことでしょうが、そんなインパクトを買った人に与えうる傑作であるに違いありません。