片付けをしていて、古い団扇を見つけた。「放下おどり」の団扇だ。
愛知県新城市のご夫婦宅に、ときどき遊びに行っていた。この祭に誘ってもらったことを思い出した。
大団扇と太鼓を腰に縛り付けて、踊りながらたたきながら団扇を操る。大変なパフォーマンスだ。
この団扇をもらったのは、35年くらい前だと思う。懐かしくて、ネットで祭を検索した。
今年の祭は8月の14日と15日の予定だったそうだ。台風でほとんどできなかったらしい。
一年かけて準備していた人たちは、無念だったにちがいない。
今日の天気予報でも、今週末に大型台風が来ると聞いた。
この時期は運動会を予定しているところも多いから、主催者も参加者も心配だろう。
35年ぶりの団扇は、時の移ろいを思わせる。新城のご夫婦はもういない。
人参の間引きを教えてもらったり、茶葉の天ぷらをごちそうになったりした。
おたまじゃくしもさわったし、たけのこ掘りもした。田舎を知らない者には貴重な体験ばかりだ。
たったひとつの古びた団扇は、たくさんの記憶を思い起こしてくれた。