心象風景 絵描きブログ

美術のこと、旅のこと、いろいろを心象風景を描くようにつづる絵描きの雑記。

額縁にまつわる話 その3

2017-10-18 23:02:47 | 美術

 

坂本満先生の編集中の本にも額縁の話が出てきます。一部をご紹介しましょう。

 

『 額の用途はなんでしょう。まず第一に作品の保護。第二は、人が衣装を着て外出するように、社会的習慣としての礼儀のようなもの。額縁もおしゃれだったり 地味だったり ド派手に格好つけたりと、「絵の表現の一部」とも言えます。

 全く違うことを言った人もいます。スペインの哲学者オルテガ。彼の説は、絵という非現実の世界と、欲望の渦巻く現実の世界とを絶縁させるものが額縁・・・オルテガは、額縁はいわば「結界」のようなものと考えたのです。

 現在は、額縁を使わなかったり薄い額縁にするなど、絵と周辺との境目をなくすことがよくあります。絵と現実を近いものとしている点で、オルテガの説とは反対の傾向が出ています。

 額縁に対するいろいろな考え方をヒントに、絵とは何かをじっくり考えてみましょう。』