16時過ぎに帰宅した。家には「図書8月号」(岩波書店)が届いていた。シャワーを浴び、クーラーとアイスクリームを食べて体を冷やしたのち、ベッドで読んでいるうちにうつらうつらしてしまった。暑さの中、歩いて帰ってきたのでやはり疲れたようだ。
眠るまでに読んだのは、
★表紙・壊れた井戸ポンプから水が吹き上がり続ける夢 司 修
「空襲で焼けた私の家。見渡す限り焼け野原となった町。毎年8月になるとその黒い地面に私は立たされるのです。あの日、福島の小学校の庭の除染作業がラジオで伝えられていて、50センチ削り取って‥しかし雨が降れば山林や台地から‥。絶望的な原発事故汚染に怒りを感じつつ、‥、わたしの神経はすべて福島に向けられているのに、焼野原での9歳のガキとなってしまったのです。‥」
★ジャズ喫茶と戦後日本文化 マイク・モラスキー
「ジャズ音楽(そしてジャズ喫茶)に触れずには、戦後日本文化の歴史自体が語れない」
★戦争体験を語れる最後の世代を生きて 柳澤桂子
「真っ赤な筒(焼夷弾)は雨のように松山の街の上に降りそそぎました。やがて焼夷弾は#發して、大きな音を轟かせはじめました。あの下に居る人たちはどんな怖い思いをしていることか、たくさんの人が今、この瞬間に焼け死んでいるのだと思いながら、私は体が凍りついていました。」
「私は戦争の悲惨さをこの目で見ました。いま、生命科学を学んできたからこそ、長い病と共に過ごしてきたからこそ、一人ひとりが奇跡的ないのちであることを実感しています。‥いのちを大切に。戦争ほどばからしいことはありません。」
★対談・ここにしかない出会い 奥泉 光・熊野純彦
★ブリューゲルと宗教改革(上) 宮田光雄
「ヒエロニムス・ボスの作品には、人類の罪にたいする厳しい髪の捌きという地獄図絵の暗さが強く刻印されていた。これに較べて、ブリューゲルには、人間の底知れぬ堕落についての驚愕にもかかわらず、諦念や絶望ではなく、それにたいしてユーモラスな笑い-そこには自己アイロニーも隠されている-へ誘うかのような趣もあるのではなかろうか。」