発展した時代、昭和に生きた若者の徒歩旅日記
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世界徒歩大旅行記3万4千キロ
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日本、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの約15,000kmを歩き終わり、1983年10月10日から1985年9月27日まで約2年間シンガポールからポルトガルのヨーロッパ大陸最西端であるリスボン近くのロコ岬まで約19,000km徒歩で横断。
12、シンガポールからヨーロッパまで歩く(スペイン)-603
23)スペインを歩く
日記から-11
8月 11日(日曜日) 快晴
Leridaという町を離れる。
今日は人影が少ないので、どうしたのかと思っていたが、よく考えると今日は日曜日である。
朝、9時にY.H.を出発する。
それにしても、このY.H.にはスペインの若い女の子が多いのにはビックリした。
それで今朝、Y.H.を出発する前で僕の体も服もまた汚れていないし、ヒゲも綺麗に剃ってあるからかであろう、女の子が僕にウィンクするのである。
そんな時は驚いてしまうし、僕もまんざらでもないのだなと思うのである。
昨日歩いた距離が60kmは超えたと思っていたが、やはり64kmぐらい歩いたようだ。
だからか、今朝は出発するまで気分は疲れていた。
それにしてもオーストラリアでは毎日このぐらいの距離は歩いていたのであるから本当に大変であったのだなと思う。
今日一つの低い丘を越えてから、平らな所に出る。
そこは牧場の様であるが、この辺りは乾燥しているのでまるで砂漠である。
Fragaという町に近づき、砂の丘と土の家が見えた時にはあのパキスタンの砂漠を思い出し、ここは回教の国かと錯覚をしそうだった。
その後町の中に入ったら、西洋の建物と公園などを見てやはりここはスペインなのだなと思い、錯覚は消えた。
昨日の歩いている時に考えた酒の話しである。
今日も少し考えた中で、酒を飲むと感覚が鈍くなるが、自然の中で瞑想をしたり歩いて自然に触れていたりすると感覚が鋭くなるのとは大きな違いだと思う。
今日は暑かった。
夕方、周りに人家のない松林を見つけた。この辺りではこの様な良い所はここだけである。
そんな訳で今日歩こうと思っていた距離には1kmほど短かったが、この中でテントを張ることにする。
やはり、自然の中は落ち着く、人家が近くにあると飼っている犬が吠えてうるさいのに今日はその声もしない。
そう言えば、先ほど書くことを忘れた。昼に低い丘を越えた時の話である。
それは低い丘を登り切った所にBarがあり、そこからの周りの眺めはすばらしく最高であったのである。
周りに何もなくまるでアメリカやオーストラリアの砂漠の中のBarの様である。
僕はそこを通り過ぎてしまう気持ちは勿体無いので、そのBarで2本のビールを飲みながら休んでいると、客が入って来た。
その客は僕にタバコとビールをくれるのである。彼は気前がいい。何故なら普通ヨーロッパの飲み屋では奢ってくれたことがほとんどなかったからである。
(そう言えばユーゴスラビアでは奢ってくれたことが一度あった。)
それでタバコはこの頃は吸わないので断ったが、ビールは喜んでもらう。
また、店の人に水筒(ペットボトル)に水を入れてくれないかと言ったら、「ここの水は飲めない。」と言われ、ミネラルウォータを彼は出した。
「それはいくらだ。」と聞いたら「やる」と言うのである。
これもまた気前がいいことである。やはりこのスペインは少し他のヨーロッパとは違い、面白い国である。
この面白いというのはフランスの様に先進国の個人主義社会では他人を信用しない、気にしないというのとは違うからである。
この様な先進国では他人を気にしないのではなく気にする余裕がなかったり、責任がかかるので気に出来ないからかもしれない。
即ち、いろいろな余分なところに神経を使い、率直になれないというのが本当だろう。
そうではなく、東南アジアや中央アジアでは人がまだ単純で親切な人は非常に親切だし、そうでない人は暴力まで振るう。
ここで単純ということは悪いという意味ではなく素朴と言えばいいかもしれない。
この素朴な人々の方が僕には合っているように思えて仕方がない。
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筆者は現在、韓国に在住して、以下の様な韓国ビジネスサポートをしています。韓国に関して聞きたいことがあれば、そのホームページをご覧になり、お聞きください。
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