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伊東良徳の超乱読読書日記

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原発と司法 国の責任を認めない最高裁判決の罪

2025-04-05 23:33:50 | 人文・社会科学系
 2014年5月21日に大飯原発3号機・4号機の運転差し止めの判決(住民側勝訴)を書いた裁判長であった著者が2023年と2024年に行った講演の講演録に加筆して出版したブックレット。
 原発の本質的な危険性、特に他の施設と異なり事故時に運転を止めてもなお高熱を発して燃料が溶け落ちて放射能を放出するという特殊な危険性を語るとともに、未来の危険性を想定して現在の運転を差し止めるよりも容易に認められるはずの実際に発生した事故による損害の賠償請求の裁判で最高裁が国の責任を否定したことに対する危機感がにじみ出ています。
 原発の危険性について理解しやすいことに加えて、業界的には、国の責任を否定した最高裁判決の裁判長を名指しして、42年も裁判官を続けてこの判決を書いた翌月には東電から多数の裁判等を依頼されて多額の報酬を受けている弁護士事務所に就職したのは、下級裁判所の裁判官に「公正らしさ」を求めてきた最高裁にあるまじきことと強く批判しているところ(41~42ページ)が注目されます。おーっ、よく言ったと…


樋口英明 岩波ブックレット 2025年1月7日発行

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