伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

新版 成年後見の法律相談

2024-01-10 22:04:44 | 実用書・ビジネス書
 精神上の障害(精神疾患、認知症等)によって判断能力が衰えた人について関係者等の申立によって家庭裁判所が後見人・補佐人・補助人を選任する法定後見制度、契約によって後見人(任意後見人)を定め本人の判断能力が衰えたときに関係者の申立により家庭裁判所が後見監督人を選任したときから後見が開始する(任意後見人による権限行使が可能になる)任意後見制度(法定後見と異なり、誰を後見人とするか、後見人の権限の範囲を本人が選択できる)等について、解説した本。
 私は後見人の経験はありませんが、責任能力がない(判断能力がない)被後見人が第三者に損害を与えた場合について、認知症高齢者が東海道本線の駅から線路内に立ち入って電車にはねられて死亡した事故についてJR東海が遺族に対し(遺族がJR東海に対しではない)損害賠償請求した事件の最高裁判決(この事案では遺族の監督義務を否定)を引用して、後見人が賠償責任を負うことがあるとしています(121~123ページ)。弁護士の後見人が、本来要求される資産管理とか契約の場面で落ち度があって責任を追及されるのは仕方ないと思いますが、認知症の本人が徘徊して事故を起こしたということまで責任を負わされるとしたら、とてもやれないと思います。後見人になっている方々はそういうことまで覚悟してやっているのでしょうか。
 106ページ下段3行目の「成年被後見人は代理権・取消権を有します」の「被後見人」は「後見人」の誤りと思われます。


赤沼康弘、鬼丸かおる編著 学陽書房 2022年9月22日発行(初版は2005年9月20日)

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