恋に関する記憶だけが満月の日にリセットされて消えてしまうという月光性恋愛健忘症の鷹羽高校帰宅部2年生女子甲斐春奈と、その親友の帰宅部遠野花蓮、ある満月の翌朝に花蓮が春奈の恋人で間違いないよとメッセージを送ってきて春奈の恋人として振る舞う「とても綺麗な」鷹羽高校理数科2年の三森要人、春奈の記憶に残る鷹羽高校スポーツ科2年生でバドミントン部部長全国レベルの選手の五十嵐航哉の思いを描いた青春恋愛小説。
ミステリーを書く人にありがちな傾向(特に密室の成立条件とか)だと思うのですが、設定した奇病の症状/恋人の記憶だけが消えるということをロジカルに扱いすぎているのが滑稽というか違和感を持ちました。そもそも症例がほとんどない(世界でも数例だとか:12ページ)のだから病像も定かでないわけですし、人間の心の症状なんだから理屈に沿って現れるとも言えないのに、満月後も記憶があるから恋心がなくなったと悩み、それを所与の前提として議論するのは無理でしょう。また、自己の病気故に前の満月まで交際していた恋人が誰か不安になった春奈が、事情を知っている姉七海(姉が事情を知っていることは50ページ)に聞いてみようともしないというのも不自然に思えました。
爽やかにうまくまとめられており、読後感は上々だとは思いますが。
蒼山皆水 角川書店 2023年12月4日発行
ミステリーを書く人にありがちな傾向(特に密室の成立条件とか)だと思うのですが、設定した奇病の症状/恋人の記憶だけが消えるということをロジカルに扱いすぎているのが滑稽というか違和感を持ちました。そもそも症例がほとんどない(世界でも数例だとか:12ページ)のだから病像も定かでないわけですし、人間の心の症状なんだから理屈に沿って現れるとも言えないのに、満月後も記憶があるから恋心がなくなったと悩み、それを所与の前提として議論するのは無理でしょう。また、自己の病気故に前の満月まで交際していた恋人が誰か不安になった春奈が、事情を知っている姉七海(姉が事情を知っていることは50ページ)に聞いてみようともしないというのも不自然に思えました。
爽やかにうまくまとめられており、読後感は上々だとは思いますが。
蒼山皆水 角川書店 2023年12月4日発行
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