伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

JK Ⅰ~Ⅲ

2024-06-04 23:09:37 | 小説
 不良勢力・暴力団が牛耳る川崎市川崎区南町にある懸野高校1年生の有坂紗奈と両親の焼死体が逗子の山中で発見されたと公表されたが警察の動きは鈍く犯人と目される不良たちがむしろ我が物顔でのさばる中、ダンス系のユーチューバー江崎瑛里華と名乗る女性が現れ、犯人たちが次々と死体となって行くという復讐劇。2巻ではさらに犯人たちの背後の暴力団衡田組、3巻ではさらにその上部の暴力団哭啾会へと戦いがエスカレートしていきます。
 1巻の最初はいったいどうしたらこんなに残虐な事件を書けるのかと思うほどむごたらしい展開です。不快なおぞましいものは目にしたくないという感性の人は読まない方がいいと思います。私もかなり後悔しました。ただ、これを読んでしまうと、あとはこんな奴らは許せない、一刻も早くこいつらが地獄の制裁を受けるのを目にしないと気持ちが治まらないという気になります(そうなってしまう自分を見たくないという点でも、止めときゃよかったと思うのです)。作者は、その点、迅速に読者の期待に応え、テンポよく復讐を遂げていきます。そういうところ、さすがベストセラー作家だなと、その手腕にも唸らせられます。
 作者としては、このようなキャラクターを生んでしまうと、続巻を書きたくなるのでしょうし、行くとことまで行かせたくなるのはわかります。ただ、私としては1巻で話は一応完結している(ただし、DNA問題の謎は1巻では解かれておらず2巻に持ち越されるのですが)のでこれで終わらせる方が後味がいいように思えます。思慮と忍耐の足りない女性への作者の容赦のなさが、1巻冒頭だけではなく3巻冒頭でも発揮されていて、胸が痛むものですから。


松岡圭祐 角川文庫
Ⅰ 2022年5月25日発行
Ⅱ 2022年9月25日発行
Ⅲ 2023年12月25日発行
コメント
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