伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

世界は「 」で満ちている

2022-04-24 19:15:41 | 小説
 噂がすぐに広まる海が近い地方都市に住む、学校が楽しみで仕方がない「明日が来るのをいつも楽しみにしていた」中学1年生の間宮由加が、学級委員の優等生涼子といつも一緒に過ごし、涼子が疎ましく見る由加の幼なじみの今は髪をロイヤルミルクティー色に染めだらしない格好で歩き学校にもろくに出てこない宇賀田悠真とは距離を置いていたが、ある日涼子が由加が一目惚れしていたサッカー部の御笠と付き合い始めそれを機に涼子の取り巻きから疎まれるようになって孤立し、世界が大きく変わり…という青春小説。
 周りから見る像と、その人が抱えている問題や内実・性格、伝わる噂と近くにいて感じ取れるもののギャップとか、友情、人間関係というようなことを考えさせる作品です。友達とは何か、1人でいることの意味などを考える作品ですが、自らが未熟で視野が狭く相手のことを考える余裕も力量もなく相手を傷つけているのに、自分が考える友達という定義・内容にピタリと当てはまらないものは友達ではなく価値がなく、100か0か的な見方で、周囲の者が完璧でないこと、さまざまな側面を持つことを許せず拒絶して孤立していく由加の姿が、好意的に見れば切なく、好意的に見なければあまりに息苦しい。


櫻いいよ PHP研究所 2019年5月10日発行
コメント
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