伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

命の灯を消さないで 死刑囚からあなたへ

2010-01-09 16:33:02 | ノンフィクション
 確定死刑囚に対して行ったアンケートへの回答を紹介した本。2008年7月に当時の確定死刑囚105人に対して、郵便のやりとりが可能な家族経由または福島瑞穂事務所から国政調査権の一環としてアンケートを送付してそれに対して返送された77人からの回答を、死刑確定日の早い順に並べて紹介しています。
 無実を主張するもの、被害者・遺族への謝罪を述べるもの様々で、法制度についての誤解に基づくと思われるものも散見されますが、それぞれの死刑囚が様々な思いを持つことが実感されます。死刑を執行するなら拘置所の職員に行わせるのではなく法務大臣や死刑判決を言い渡した裁判官が立ち会いボタンを押すべきだという意見が多数あるのも、死刑囚がそういう心情を持つことにいろいろと考えさせられます。少しでも人の役に立ちたいと、死刑執行後の臓器提供を希望する死刑囚が何人かいることにも考えさせられました。死刑執行の発表によって死刑囚の家族に迷惑かがかかるからやめて欲しいという、現在のマスコミ報道と犯罪に対して極端に厳しい「世論」を反映した結果的に以前の法務省の死刑執行を秘密にする姿勢を正当化する意見も、意外に多数寄せられています。
 拘禁され全文検閲されていることからすると、当局側に遠慮して回答内容にバイアスがかかっているのではないかという問題はありますが、そしてまた内容的に共感できないもの・不愉快なものは当然にありますが、死刑囚が現実に持つ思いを知ることができる貴重な資料です。


死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム90編 インパクト出版会 2009年4月10日発行
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