伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

あの子の考えることは変

2010-01-22 22:14:00 | 小説
 セフレと断言されている27歳脚本家をイギリスに行っているという彼女から引き離して独占するために太らせ見栄えを悪くする「モンスター計画」を進めるジェラート屋のバイト23歳Gカップ女巡谷と、同居する自臭恐怖癖のあるしかし実際不潔な引きこもりの23歳処女日田が、変化を期待しつつもがく様子を描いた青春小説。
 前半では日田の変人ぶりが強調され、普通の女と描かれていた語り手の巡谷が、後半になるとときおり過敏になりパニックを起こし、この子の考えることも変になる転換が少し巧み。
 ただ杉並清掃工場の煙突から出るダイオキシンを吸い続けることである日突然「発症する」ことに自分の変化を期待するという設定は、中途半端に現実が入り込みせこくもあり、今ひとつ興味を感じにくい。
 若い女性に清潔で清純なイメージを持ってきたし持たされてきた世代としては、ストレートに不潔で性欲を剥き出しにした23歳処女とか見せつけられると、幻想を壊されるというか辟易するというか、ちょっと考え込んでしまいました。


本谷有希子 講談社 2009年7月29日発行
コメント
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