伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

リーダーは半歩前を歩け

2009-10-20 21:18:21 | 実用書・ビジネス書
 現在は個人主義・自由主義の風潮が退潮しリーダーが求められる時代になったとして、現代のリーダーに求められる資質を先見力、目標設定力、動員力、コミュニケーション力、マネジメント力、判断力、決断力の7つと主張して、ポピュリストのトリックスター小泉純一郎を批判するとともに、理想的なリーダーとして金大中を挙げて褒めそやした本。
 何と言えばいいんでしょう。著者を隠して読まされたら、前半は、軽めのビジネスコンサルタントか自己啓発セミナー講師の原稿料稼ぎの読み飛ばし用ビジネス書かと思います。この人ってこんなに軽い明るい人だったのかなって。
 政治学者が、現代は「自由からの逃走」の時代だって言った後に、それを問題視しないで、だからリーダーが求められているって、それでいいんですか?
 小泉批判は、著者の立場上当然でしょうけど、それだけにその後の金大中の持ち上げ方が目につきます。青春時代の運動のシンボル・憧れの人にインタビューできて感激したのはわかりますけど、対談も、これ政治学者が政治家にするインタビューじゃなくて、ファンクラブ代表がスターに聞いているようで、厳しい質問ゼロ。
 出版時期も中途半端で、自民党の歴代首相のリーダーとしての資質のなさを論じるのなら、自民党が元気なうちにやればいいのに、自民党が野党に転落してから出版というのはいかにも情けない。もちろん、著者は自民党政権のうちに準備したのでしょうけど。


姜尚中 集英社新書 2009年9月22日発行
コメント
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