現実の団体とは関係ありませんといいながらどう読んでも上野動物園を舞台に、飼育係の男性が、動物を擬態して見つめ続けその後には決まってその動物が死ぬという不思議な女性客「キョウコ」を寮に招き入れて住まわせながら飼育し続けるというストーリーの怪奇小説。
見つめ続けた動物に次第に変身していく人間の言葉を話せない女性に恋して一方的な会話を続ける飼育係の姿は、幻想というか妄想というか、それ自体哀しくもあり怪奇でもあります。
終盤には輪廻・転生なのか、主人公のアイデンティティ自体が崩れるというか入れ替えもあり、幻想感というか不思議感が強まりますが、B級ホラーっぽい展開のため哲学的なムードにはあまりなりません。設定からして、場所が明らかに上野動物園であること以外は、全然現実感がないのですが、私としては主人公とキョウコのコミュニケーションの行く末で最後まで展開した方が読ませたかなという気がします。

黒史郎 メディアファクトリー 2007年11月30日発行
見つめ続けた動物に次第に変身していく人間の言葉を話せない女性に恋して一方的な会話を続ける飼育係の姿は、幻想というか妄想というか、それ自体哀しくもあり怪奇でもあります。
終盤には輪廻・転生なのか、主人公のアイデンティティ自体が崩れるというか入れ替えもあり、幻想感というか不思議感が強まりますが、B級ホラーっぽい展開のため哲学的なムードにはあまりなりません。設定からして、場所が明らかに上野動物園であること以外は、全然現実感がないのですが、私としては主人公とキョウコのコミュニケーションの行く末で最後まで展開した方が読ませたかなという気がします。

黒史郎 メディアファクトリー 2007年11月30日発行