17歳で亡命したクルド人映画監督の少年時代の自伝的小説。
相次ぐ戦争で故郷を追われ平和が来て故郷に戻り苦労して生活を再建したらまた戦争で難民となりと、戦争やフセイン革命に翻弄されるクルド人庶民の様子や、クルド人の独立運動に加わっていく父や兄の下でイラク兵や秘密警察からの暴力や圧力を受ける様子が、少年の視線からユーモアを交えつつも生々しく描かれています。
ラジオ・モスクワやヴォイス・オブ・アメリカが一方がクルド人の味方をし他方が敵対し、それが政権が交代する度にころりと反転する様子がさらりと書かれているのも、アメリカとソ連のご都合主義をよく表していて辛辣です。
ただここで描かれているイラクとクルドは1980年代初めまでですから、それを今頃になって(フセイン政権が崩壊してから)出版されても、出す方はそれまで出せなかったのでしょうけど、読む方にはちょっと今さらって感じはします。

原題:Le fusil de mon pere
ヒネル・サレーム 訳:田久保麻里
白水社 2007年6月10日発行 (原書は2004年)
相次ぐ戦争で故郷を追われ平和が来て故郷に戻り苦労して生活を再建したらまた戦争で難民となりと、戦争やフセイン革命に翻弄されるクルド人庶民の様子や、クルド人の独立運動に加わっていく父や兄の下でイラク兵や秘密警察からの暴力や圧力を受ける様子が、少年の視線からユーモアを交えつつも生々しく描かれています。
ラジオ・モスクワやヴォイス・オブ・アメリカが一方がクルド人の味方をし他方が敵対し、それが政権が交代する度にころりと反転する様子がさらりと書かれているのも、アメリカとソ連のご都合主義をよく表していて辛辣です。
ただここで描かれているイラクとクルドは1980年代初めまでですから、それを今頃になって(フセイン政権が崩壊してから)出版されても、出す方はそれまで出せなかったのでしょうけど、読む方にはちょっと今さらって感じはします。

原題:Le fusil de mon pere
ヒネル・サレーム 訳:田久保麻里
白水社 2007年6月10日発行 (原書は2004年)