腹が痛い。
下痢である。
メキシコの名誉の為に言っておくが、メキシコ料理を食べたからではない。
夜中に腹が減って、飛行機で出されたチョコケーキを食べた。
48時間くらい前のもの。気温も生温かい。
それが原因だと思う。
でも、本日は寝てるわけにはいかない。
娘のダンス教室の公演が隣町であるのだ。
わたしも、特別に一緒に、メンバーの乗るバスに乗せてもらって見に行く事になっている。
娘には、どうする?家で寝てる?と、言われたが、すぐに治りそうな気もするのでもったいない。
行く事にする。
集合場所の、公園まで、ホストマザーに送ってもらう。
その時点では腹が痛くて、前かがみにしか立てない。
ダンス教室のメンバーに笑顔で挨拶するも、死にそう。
下から下る感じではないのが、救い。
全然食べていないので出すものがないのだ。
娘のお世話になっているダンスの先生は、ジローラモ風である。
お土産のティーシャツを渡すと、
キャ!!カワイイ!
と、ラブリーな仕草で喜んでくれる。癒される。
隣町、と言ってもバスで二時間弱。
スペイン語のポップスをみんなノリノリで歌っている。
遠足のバス状態の中で、ひたすら、うずくまる。
脂汗。
やばい。ホントにわたしって我慢強い。サムライだわ。
娘は、
ねー、大丈夫なの!?
と、口では言うが明らかに不機嫌。
楽屋の隅で、みんながリハーサルしている間爆睡。
目が醒めると、かなり楽になっている。
トイレ、トイレ、水下痢である。
でも、全体的な調子はだいぶいい。
時差ボケで、昨晩全然眠れなかった事もあるのかな。
ダンスのメンバーみんなに出された美味しそうなメキシコの家庭料理風の食事を勧められたが、涙をのんで断った。
さあ、公演が始まる。
娘は、わたしに構っている暇は無いので、わたしはお客さんに交じる。
メキシコ人は、娯楽が好きなようで、びっくりするくらいのお客さんのいり。
休日の夜に家族で、近所のシアターに観劇に来る。
人々の営みは変わらない。
異国の地で、そっと、それに交じるわたしも幸せな気分になる。
なぜか、ここに来て、アダムスファミリーのパロディ。
言葉はわからないから、話の筋もわからない。
でも、途中で声をあげて笑っている自分に気づいてびっくり。
娘もちょいちょい出てきて、キメ!ている。
いいぞ。ブラボー!
休憩時間である。
あまりに腹が減る。
みんなが手に手に持っているスナックが、おいしそうなのだ。
売店に行ってみる。
並んでいるスナックを指定しなくてはいけない。
ノット ピカンテ ドリトス!!
じゃあ、コレね。
とかなんとか、売り子さんが言ってくれる。
通じたのである。
日本にもあるドリトスが手に入った。
席に戻って、たべる。
美味い~。
染みるくらい美味い。
朝から何も食べていない上に、メキシコでの、初めてのおつかいなんだもの!
やっぱり、自分で手を伸ばして獲得したものは、格別においしいのだなあ。
いや、しかし。ドリトスってこんなに、美味しかったっけ。