野性派でいこう!

日々の徒然です。子供四人。自然派。遺跡発掘事務所でお仕事。遺跡発掘調査で働き、やっぱり描いたり書いたりする日々。

うららかな、春。

2017-03-29 21:47:14 | 旅行
わたしは、箱根で育ったので、物心ついた時には、もう、サービス業をする側の人間って感じだった。

友達んちの食堂のついてるお土産物屋さんに頼み込んでウェイトレスをさせてもらったのは、小学五年の頃。

高校生の頃は、ホテルでの朝の給仕や、売店でかき氷かき、いろいろやったなあ。

と、いうわけで、なんとなく、旅行をするという感覚が、自分の中には、あまりない。

サービスを受ける、身の置き所がムズムズしちゃう。

しかし、父母と、子たちと、伊豆に行ってきました!

近場でいい!近場がいい!
春は、いい!

たくさんの家族旅行の方々みたいに、ハッスルしているホテルマンの説明を聞き、ふやけるくらい温泉に入り、苦しいくらいバイキングを食べまくり、

なんというか、普通にちゃんとサービスを受けてきた!

そんで、観光もしたら、不思議な感覚。

家族で旅行、なんてした事のなかったわたくしが、スッポリ『観光客』にハマってる。

いろんなところに身を置いて、いろんな視点になるのは、面白い。

まあ、旅行は、いいぞう!って、やっと受け入れられるお年頃。



半径何メートル

2016-06-15 22:52:42 | 旅行

成田に着いた時、雨だった。

飛行機の機体からでて、空港へ渡された廊下に出た途端、
湿り気が身体にまとわりついた。

ああ、日本だ。

わたしは、前世を全部思いだしてしまった人みたいな気分になった。

空港から、我が町の近くの駅に行くバスで帰る事にした。

バスの発車時刻まで、空港をウロウロ。

不思議な高揚感のある朝7時。

お腹が減って減って、ハンバーガーチェーン点の朝メニューを食べた。

う、うまい。

ソーセージエッグマフィンも、しっとりしている。
湿度が高い国だからなのか。

バス乗り場に行くと、後ろに並んだのが、飛行機の中で言葉を交わした青年だった。

バスを降りる駅までは一緒。

日本語は話せない、一人で、
仕事の為に来た。

スペイン語と英語と、ものすごくたくさんのゼスチャーでわたしたちは、会話した。

日本に帰ってきちゃったなあ
と、思っているわたし。

新しい土地で、これからに燃えている彼。


娘が、メキシコに行きたての頃、
そっちは、どうなの?
と、聞くと、

結局は、物事はわたしの半径何メートルで起こっているわけだからさあ、
あんまり、日本と変わらない

と、言われた。

後ろに並ぶ彼は、半径何メートルに希望を見ている。

同じように、わたしも、わたしの周りの半径何メートルに、見出せるかな。

ここが、日本だろうが、メキシコだろうが、どこだって。

 


ノーフューチャーとマリポーサ

2016-06-14 19:32:10 | 旅行

よくメキシコ人は、明るくてアミーゴアミーゴ!な印象があると思われるけれど、

わたしの感じたメキシコの人々の印象は、ちょっと違う。

気ぃ使いで、優しくて、真面目で、働き者。

日本人宿アミーゴに泊まっていた日本人のみなさんも、同じ事を言っていた。

おまけに、
さみしがり屋で、ネガティヴ。
というご意見も。

あら!?
わたしと、ソックリぢゃないの!?


なぜ、メキシコの人々が、我々日本人から見て、明るく陽気なイメージになってしまうかというと、
大事にしているモノが、お金、ではないせいではあるまいか。

ペンションアミーゴで、南米を回ってきた青年たちから、聞いた。

中南米の国の情勢は、いつ変わるかわからないから、貯金、という概念が、ないみたいですよ。ノーフューチャーなんですよねぇ。

お金の価値が明日には、紙切れになる。

そんな事が、彼らには、本当に起こり得るのだ。

日本人だって、今日まで確かにあった財産やら、本や、想い出の写真やら命までもが、一瞬で津波に持っていかれるという経験をした。
それは、少し前の事なのに。

頑張れば、報われる?

日本人は、未来の為に一生懸命頑張る。

そんなのは、幸福なおとぎ話でした!じゃなければいいのだけれど。

メヒ子ちゃんのお父さんは、ミチョアカン州に来る蝶の話をしてくれた。

ミチョアカン州から、カナダへ、蝶が渡るんだよ。
それは、生物界では一番長い移動距離なんだ。
親蝶は、ミチョアカンに来て、産卵する。
産まれた赤ちゃん蝶は、ちゃんとカナダを目指すんだ。
記憶だけでね。

それは、自然と起こる。

自然と。

わたしも、
わたしを突き動かすモノが、自然からであるよう耳を澄まそう。

もう、不安や恐怖心から動いたら、本当の事、を、つかみ損ねるだけ。

そう思ったら、ずいぶんカラリと明るい気持ち。

端から見た、メキシコ人の印象と似た感じになっちゃうのかも!!

 

 

 

 


ノッシノッシ、歩いた。

2016-06-13 21:12:38 | 旅行

 

夜の空港は面白い。

半袖短パンサンダルの人もいれば、ダウンジャケットを、着込んでる人もいる。

肌や髪や目の色や、話す言語が違う。

お年寄りもいれば、赤ちゃんもいる。

誰がいてもいい。

そこにわたしの居場所がある。

 

ただいま、6月4日になりたての夜中の一時の、メキシコシティの空港。

これで飛行機に乗ったら、成田に着くのは5日の朝。

わたしの6月4日は、一時間しかなかった計算になる。

不思議な感じの真ん中に、自分自身が独り。

今回の旅で、大きなリュックを背負って、行きたい場所を目指す人々にたくさん出会った。

わたしもはたから見たら、そんな一人に見えたかな。

ノシノシ歩く事の爽快感を、覚えてしまったわたしから、誰がそれを奪えるだろう。


眠けでボンヤリした頭に、日本語のアナウンスが響いてくる。

あれ。ホントに成田に帰るんだ。

うーむ。
まあ、ちょっとお風呂に入ったら、また、来よう。

来られるように、舵をとろう。

 


おばあちゃんの味

2016-06-12 21:11:33 | 旅行

あんまり出かけてばかりのわたしたちである。
ホストファミリーのおばあちゃんの手料理が食べられる機会があまりなかったのは大変残念な事であった。

おばあちゃんの作るスープは絶品。

今日の昼は、ミートボールのスープを作ってくれた。

あんまり美味しいので、作り方を聞くと、隠し味に醤油、との事。

納得。

メキシコ料理は辛くて強烈なイメージがあるけれど、わたしの体験した家庭料理は優しい味であった。

塩味に煮た豆。

ほうれん草とチーズを巻いた玉子焼。

トマト味の炊き込み御飯。

鶏肉、玉ねぎ、じゃがいもをトマト味で炒め煮にしたもの。
これはトルティーヤに包んでいただいた。

おばあちゃんの作る料理は、野菜たっぷりで、わたしの作る料理にどこか似ているかも。

メヒ子ちゃんがうちにいた時、おいしいおいしいと、言ってくれたのも、まんざらお世辞でもなかったのかもしれないぞ。
と、今さらニヤリ。

おばあちゃんは、タバコをよく吸ったり、夜もテレビをつけっぱなしでソファで寝てたりして、全然ちゃんとしていない感じ満載なのに、

出してくれるお料理がどれも美味しいというのは、カッコよかった。

孫のレナタにも、いつもガミガミ言ってるみたいなのに、

レナタが、全部食べたよ!

と、空になったスープのボウルをおばあちゃんに見せると、

ブラボー!ブラボー!

と、大喝采をする
茶目っ気たっぷりのマダムだった。

レナタに、いつか日本に来てね。

と、言ったら

イヤだ。
わたし、ハワイが、好き。

と、言ったので、

じゃ。いつか、ハワイで、会おう!

と、言ったら、おばあちゃんが、

いいアイデア!
と、本当に、愉快そうに笑った。

実現したら、面白いなあ。
いつか、おばあちゃんと一緒に、ハワイで一緒にタバコを吸おう!

 


はじまるよ!ライブ!!

2016-06-11 22:50:43 | 旅行

Vamo vamonos negrito
(さあ、いこう友よ!)

ナタリアが歌い出した時、わたしは涙が止まらなかった。

三曲目まで号泣き。

キツネ顔を気にして、マスカラを塗ってきたのが、完璧におちた。

ナタリアラフォルカデは、メキシコ人の女性歌手で、2015年のラテングラミー賞をとったから、今、中南米で一番有名な歌手と言ってもいいのかも。

その、彼女が、目の前で歌っている!


娘の学校の友達のお父さんが、わたしたちも一緒にライブに連れてきてくれた。

娘の友達、マグダには年の離れた二人のお姉さんがいて、
お父さんの年は聞けば、70歳だという。
一緒にライブの立ち見、大丈夫!?

お父さんは、子だくさんビッグダディ清さんにそっくり!

声が、なぜかテノール歌手みたいに、低音でよく響く。

8時半からのライブなのに、3時出発。

これまた、街を案内する時間を見てくれていたのだ。

このライブの行われるリオンの街は、日本人が珍しいのか、みんなが我々を見る!
かなり見る!
あからさまに見る!

チーナチーナ!
(中国人中国人!)

はやし立てるように寄ってくる男には、ビッグダディ父さんが、低い声で一喝。

開場七時。
五時から、ゲートの前に並ぶ。

お腹が減ったよ。と、ビックダディは、屋台のホットドッグを、6つ食べた。

開場間近になると、長蛇の列。

並んでいる間も、お菓子売りが次々と来て、面白い。

わたしたちのチケットは、ステージ前の立ち見だから、一番をねらって、一番前の真ん中を取るマグダの作戦!

コンサートと言う物自体が25年ぶりのおばさんも、開場と同時にダッシュ。
本当に、ステージ前のど真ん中が取れた!
すごいよマグダ!!

そして、開場から、さらに、二時間ほどメキシコ式ポテトチップスをいただきながら、待つ。


開場に、かかっていた音楽のボリュームがいよいよ大きくなり、
ドライアイスがたちこめて、照明が落ちた
バンドのメンバーが次々に登場して、
いよいよ
ナタリアが登場!

いつも、聞いている。
ユーチューブでも何度も見てる。

メキシコの昼間のライブの生中継を、深夜の日本で、不思議な気分で見た。

でも、いまは本人が、そこにいる!!

ナタリアは、曲も作るけど、絵も描くし、造形ものを作っても素晴らしい。

ご両親が、芸術系の才能を伸ばすような教育をした、なんて何かに書いてあった。

一方、東の小さな島国で、生まれ育った女の子の事を思った。
鳥のさえずりに耳をすましたり、夕焼けに打たれるような時間は、無駄。
絵を描けばそんなんじゃ食べていけない。
ああ!息をしたい!!
いつも、願っている女の子。

ナタリア、あなたを見て、泣いちゃってる女の子は、遠い東の国から来たんだよ!

手を伸ばす。

本当に澄んでいて美しいナタリアの声に包まれる。

ロック調の曲では、手を大きく振った。

全然わからないスペイン語の曲を、一緒に、歌いに歌った!

いつの間にかナタリアは、裸足。
自然体が、本当に素敵だ。

コンサートの終盤に差し掛かった頃、スタッフが飛び出してきて、ナタリアのマグカップと、サイン入りCDを売り出した。

早い者勝ちである。

ビッグダディが、ひときわ大きな声で、スタッフを呼び止めて、1セット買った。

マグダ!いいかい?

マグダも、アコアコ。と、言って、娘に、くれた。

わたしは、

えーっ!!と、感激して、

おとーさん!!
(これは本気の日本語)

と何度も言って、ビッグダディに、抱きついてしまった。
また、涙がでた。

サインが、欲しいの

コンサートが始まる前に話していたのは、マグダなのに。

もう、メキシコの人々からは、たくさんのいただきモノをしすぎて、なにをどうお返ししたらいいのかわからない。

感激しつつも、ビッグダディを見ると、後ろの人々から、渡されたお金でCDを買い、後ろに手渡す作業を延々とやっておられる。
根っからいい人なんや。この人。

そして、コンサートが終わるやいなや、出待ちだーっ!

マグダと走る。

しかし、ナタリアには、会えなかった。

これからの、この子の願いが全て叶いますように。

わたしは、そっと神様にお願いした。

だって、わたしの夢は、VIP級に、叶っている。あなたのおかげで。

さあ、いこう、友よ!

ナタリアだって、歌っている。

いこう!叶える道を!友よ!!

 

 


もう一度、セントロへ。

2016-06-09 20:55:45 | 旅行

メキシコに来て、9日目。
朝、トイレに行く時鏡を見たら、キツネ顔の女が映っている。

娘がわたしを見た時の衝撃はこれだったのか!

明日は帰りの飛行機に乗る。また平たい顔族にまじる日々だ。

 

昨夜メキシコシティから、長距離バスでグアナファトに戻ってきた。

今朝もう一度、グアナファトの市内をめぐる。

ホストファミリーの家からピピラの丘まで歩き、そこからケーブルカーで、商店街まで下る。
二人で400円。
あの長い道を下るなら、高くない。

しかし、

ケーブルカー乗り場にたどり着く前の小さな革製品のお店がかわいくて物色。
レジにいる女の人がその場で革製品をつくっている。まるでアーティスト。

ああ!市場にたどり着く前の誘惑も多すぎる!

途中のカフェで朝ごはんを食べようとすると、二階が眺めがいいからと案内される。
500円しないモーニングセットで、こんなによくしてくれる。
水木しげる先生が大絶賛したメキシコのパンケーキ。
やっと食べることができた。
うん。確かにおいしい!
小麦粉の味がするのだ。

そうそう。

今回二階へどうぞと言ってくれたような事や、
ちょっと困った事に遭遇したりするとどこからともなく誰か現れて教えてくれる。

不思議だなあ。

わたしが思う以上に、キツネ顔は目立っていて、みんなの関心を引いているのかもしれない。

もっと市場にいたかったけれど、娘に急かされて帰る。

やっと捕まったタクシーの運転手さんが、娘を迎えに行くから、遠回りしていい?
と、言う。
途中で可愛らしい小学生の女の子を拾って、ホストファミリー宅へ。
料金はちゃんといつもの料金だった。

さあ!急げ!

今日は、ナタリアラフォルカデのライブに行くのだ!!

 

 

 

 


PILAMIDASと、おじさん達

2016-06-08 21:48:03 | 旅行

メキシコシティのペンションアミーゴに別れを告げて、バスで、セントラルノルテ駅へ。

ここから、テオティワカン行きのバスがでる。
メキシコのバス乗り場は、かなりわかりにくい。
買ったチケットに販売員さんが、6から9と書いてくれるのだが、
乗り場6から9のどれかから、バスがでるよ。という事。

まぁ、行ってみりゃ、わかるか。と、思って、6から9のところに行くと、

PILAMIDAS

と、いう表示のバスがあるのに気がついた。

テオティワカン行きのチケット下さいと言い。
チケットにも、テオティワカンと書いてあるのに、バスに、ピラミッド、じゃ、だいたい加減がすごくて、
わたしがもっとちゃんとした人だったら、絶対分からなかった。

バスに乗ると、女の人が、お菓子の詰め合わせをくれた。
くれたと思ったら、10ペソだった。

バスの中で、若い男女が、ギターと歌を始めた。
なんだか、このギターと歌が猛烈に良くて、チップでもあげるべきかと思ったら、特に要求もされなかったし、誰も払っていなかった。

テオティワカンに着くと、娘の大荷物が気になった。

背中には、日用品のリュック。

前には、モニカと空港で別れたままメキシコシティに来たので、モニカから渡された台湾のインスタントラーメン15袋と、友達に返すように頼まれたトレーナーの入った袋をかかえている。

わたしも、ずっしりしたリュックを
背負っている。

テオティワカンは、広い。

おまけに起伏がある。

それに、物売りが、避けても避けても、ゾンビのように声をかけてくる。

ガイコツの形の、バウウウという音のなる笛を、いつもこちらにめがけて吹いてくる。
この音に、けっこうびっくりする。

かなり疲れた。

太陽のピラミッドの下で、さっき買わされたお菓子を食べて水を飲んでいると、
また物売りがきた。ブレスレットの物売りだった。

断ると、いい年したおじさんが、心底悲しそうな顔をする。

次のピアス売りのおじさんも、また、同じような悲しそうな顔をする。

ちょっと。

まぢで、あなたたちそれで生計立ててんなら、ちょっと甘いんじゃないの!?

同じようなもんを、こんなに大勢で売って、売れないに決まってる!

しかも、入り口の売店では同じモノがもっと安く売ってたのだ。

真剣に、やる気があるなら、みんなと違うビジネスチャンスを考えたほうがいい。

例えば、ピラミッドに登る人の荷物を預かるとか、記念写真を撮ってあげるとか。

と、わたしはかなりイライラしていたけど、伝えるようなスペイン語力もない。

遺跡は、石がゴロゴロ積み重なっている様に、なんとなくの迫力だけを感じてはいたが、とにかく、今生きてる物売りおじさん達への対応だけで大変だった。

しかし、当時の壁画が復元されている一角に足を踏み入れた時、これは物凄いぞ、と、思った。

シウダデラ市場で圧倒された、メキシコの人々の産みだすパワーと、

ここのおじさん達の、物を売る執念と、

このピラミッドを創り出した人々の、
生も死も超える生き様みたいな物が、全部繋がって、

気が遠くなった。

遺跡を歩いてヘトヘトになった娘が、

あーこの人たち、
この時代から、あんま変わってないわ

と、言った。

正に、同感。

ピラミッド時代から、同じモチーフのパターンが、現代の民芸品に現れる。

それが、古くさくもないし、ある迫力を、もっていて、美しいのだ。

スペインに征服された時代を経て、なお先住民の息吹が、ボコボコと音を立てて沸騰しているような感じ。

面白いなあ。

でも、
物売りの、おじさん達、

もうちょっと、違うビジネスチャンスを考えたほうがいいと思う。真剣に。


シウダデラ市場

2016-06-07 20:56:05 | 旅行

ペンションアミーゴの壁には大きなメキシコシティの地図。

ひときわ興味を抱いたのは、シウダデラ市場。
メキシコ全土からの民芸品が集まる。
200店舗が軒を連ねる。

今日の午後にはテオティワカン遺跡のバスに乗りたい私たちである。

ちょっとだけよ、の、つもりで覗いた市場で大興奮。

美しい刺繍のブラウス。
革細工の靴や鞄。
細かい銀細工のアクセサリー。
凝ったデザインの分厚いタイル。
お茶目な人形。
カラフルなギター。

全部欲しい。

ガイドブックには、値切ってみよう!

と、ある。

しかし、こんなに美しく、手の込んだものが、日本人のわたしからすると、もう、安いのだ。

130ペソ

と、言われるので、頭でペソから円に計算する。

わたしの黙る姿が考えているように見えるのだろう。

じゃあ、120でいいよ。

え。なんにも言わないでいたら、下がった。
二つちょうだい。

なら、230でいい。

と、いう感じ。

あんまり、安く値切る事ばかり考えないで、この美しい物を欲しいと、誠実な態度の旅人でいるほうが、気持ちいい買い物ができる気がする。

刺繍ブラウスとビーズのアクセサリーの店では、女の店員さんと、
これがかわいい、あれがかわいい
と、女子トークになるのが面白かった。

別珍のような、リッチな刺繍のバックの店では、白人のマダムが山のように商品を持ってこさせて、選り分けているのが、ちょっと偉そうだった。
わたしたちは、そっと、小さなバックを言い値で買った。

狭い通りを歩くと、いきなりおじいさんに、
ほとんどダダ!
と、日本語で声をかけられた。
逃げるようにして、駆け抜けた。

出会う角、新しい通りの店はいつも目新しく、また、素敵な物に出会ってしまうので、

最後は、娘と、

もう、見ないよー!と、半べそかいて出口目指して走った。

ものすごかった。

素敵で美しくて、色彩に溢れていた。
メキシコの人々の生活のエネルギーが、百花繚乱、ひしめいている市場だった。

これから、テオティワカン遺跡に行くというのに、荷物の量が増えてしまった。

でも、素敵な物が、このリュックに詰まっていると思うと、そんなに重さは感じないのだった。

 

 


大地と水の神様

2016-06-06 21:49:34 | 旅行

さて!寝てるわけには、いかないよ!

もう観光はどうでもよくなっている娘を叩き起こす。

2日でメキシコシティの全部を見るくらいのつもりのわたしである。

しかし、すぐにそんなのは戯言だと思い知る。

コヨアカン地区にあるフリーダカーロの美術館から、北上してメキシコシティを攻めようというわたしの計画。

なのだが、

メキシコシティはでかい。

2ブロック先だよ。
の、2ブロックのでかさ!

しかも、小さな通りは地図にでていないから、迷う迷う。

おまけに、露店の雑貨が可愛くて足を止め、
搾りたてのジュースの誘惑に足を止め、
腹が減っては戦ができないので、タコスの屋台で小休止。

フリーダカーロ美術館から、タクシーで、
フリーダとディエゴリベラの暮らした家へ。

歩きに歩いて地下鉄の駅へ。

リスの群がる公園を抜けて、国立文化人類博物館へ。アウトラロピテクスの模型と並んで写真を撮る。

もう、その頃にはヘロヘロである。

気がつけば午後6時。

地下鉄に乗って、宿に戻ろうとするも、時間が帰宅ラッシュに入っているよう。

メキシコシティのラッシュ時の地下鉄は、地獄の沙汰だと耳にしていたので、どうする?

はてさて、タクシーだといくらかかっちゃうのかな。

などとはなしながら歩いていると、大きなスタジアムの前から、トリバス!
(多分トリップバスの事)
二階建ての屋根が座席になっている、浮かれた観光バスである。

わたしたちの目指す地区に行くか聞いてみると、うまいこと、行くという。

でも、1日違う路線にも乗り放題で140ペソ。1000円前後。

いまからじゃ、コース一周も無理だから、もったいないよとチケット売りのお兄さん。

金持ちパポンから来た、世間知らずのお嬢様二人旅行である。

ボッタクれば、いいのに!
実は我々の出会ったメキシコ人は、みんなこんな風に優しかったのである。

タクシーよりもいいから、と、頼んでトリバスに乗せてもらう。

観光名所を次々にまわり、イヤホンで日本語の説明も聞ける。

わたしは、大変このバスが気に入った。
1日乗り放題で、上手く使えばだだっ広いメキシコシティを効率的に観光できそう。

バスを降りて、地下鉄3駅で宿に最寄りの駅。

その頃、土砂降りの雨に見舞われて、タコスを食べながら雨宿り。

長い長い1日だったが、メキシコに雨が降ると安心する。
気温がぐっとさがり、埃っぽさが落ち着く。

古代から現代まで、メキシコの人々の作る建造物や小さな生活雑貨に魚のモチーフがたびたび現れる。

魚は、豊穣を表すシンボル。
雨や水や魚に、人々が抱いく想いは、水に恵まれた我々日本人とは違う重さがあるだろう。

激しい雨も、夜半には上がった。

広いメキシコの大地は、軽々と飲み干してしまったかの様に、また、なんでもない朝が来る。