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朝比奈の城山 遠江その2 大迫力!全長500mの尾根に展開する遺構の残りが良い山城

2023-04-21 | 歴史

朝比奈の城山は静岡県御前崎市下朝比奈にあります。今回は その2です。※その1はこちら


朝比奈の城山 今回は図5の部分を見学します
 朝比奈の城山は全長500mに及ぶ尾根上に築かれた山城で、その1では図3と図4の部分を見学しました。今回は中心部の図5の部分を見学します。


朝比奈の城山 Ⅰ郭が主郭 Ⅱ郭はⅠ郭に付随した物見台とされる
 朝比奈の城山は東からの侵入に対する備えが厳重で、尾根を断ち切る大きな堀切D,EやⅡ郭の土塁などが見どころでした。Ⅰ郭の縁辺部にぐるっと溝が切られていましたが、雨水によって曲輪の切岸が崩落するのを防ぐための排水溝だったのかもしれないと考えました。


朝比奈の城山 堀切1 南西から 右にⅠ郭の切岸
 尾根を登るとⅠ郭とを断ち切る堀切1が設けられていました。東側の二重堀切と比べると規模が小さいものでした。


朝比奈の城山 Ⅰ郭の虎口H  北下から
 虎口Hから北に下る道は尾根道になってH-C-Dと山下まで下っていましたので、Ⅰ郭が山畑などに利用されていた時があれば農道だった可能性が有りそうでした。


朝比奈の城山 尾根道d 折れのある地点3 北下から
 虎口Hから尾根道Cを降り尾根の分岐点4から尾根道dへ下ると3の地点で道は二度折れて下っていました。この道は山下まで続いていて近年まで使われていたように見えました。3の地点は虎口風の地形で興味深いですが単なる尾根道かもしれませんね。


朝比奈の城山 Ⅰ郭 平場⑩から 左に土塁9の西端部
 Ⅰ郭は丁寧に削平された平面に虎口Hが北向きに開いていました。平面の周囲は溝以外には目立った遺構地形がありませんでした。山畑などで改変があって遺構は失われたかもしれません。


朝比奈の城山 Ⅰ郭周囲の溝 排水溝か
 Ⅰ郭の縁辺部分には曲輪を取り巻くように溝が切られていました。城郭遺構か山畑の跡か表面観察だけでは判断が付きませんでした。


朝比奈の城山 平場10  左に土塁9 奥にⅠ郭    東から
 平場10はⅠ郭の一部とも考えられ、南辺に厚い土塁が設けられていました。ヒョットするとⅠ郭の南辺にも土塁が延びていて、後世の山畑などの利用で削られたのかもしれないと想像してみましたがどうでしょう。


朝比奈の城山 Ⅱ郭  奥に南東隅の土塁37 北から 
 城域の最高所にあるⅡ郭は、資料(2)で物見台に位置付けられ南東隅には土塁が残っていました。土塁は風化が見られますが南東尾根に向けての備えの一つのようでした。


朝比奈の城山 Ⅰ郭南西下の腰曲輪8  南西から 奥上にⅠ郭
 Ⅰ郭南西の小尾根には何段もの腰曲輪が設けられていました。図4の郭群18,19,20もそうでしたが、尾根筋の西側に向いた平場の役割は何だったのか?でした。ヒョットする往時は西側の谷筋に峠道があり、それに対応していたのかもと想像してみましたがどうでしょう。


朝比奈の城山 大堀切D 北東から 右手上にⅡ郭
 Ⅱ郭の東側には大きな堀切DとEで二重堀切となっていました。他の堀切から比べると圧倒的に規模が大きい二重堀切で、東からの脅威が大きかったのだと想像しました。
 

朝比奈の城山 大堀切E 南西から 人物と比較
 大堀切Eの規模も大きく大堀切Dとの二重堀切で東からの備えが厳重だったと実感できました。


朝比奈の城山 井戸38 南東上から
 平場10の南下には井戸がありました。堀切Fに隣接した井戸地形は資料に描かれていませんでしたが、井戸38は資料にも描かれていました。

朝比奈の城山は一部が後世の山畑として利用されて改変が少しあったかもしれませんが、ほとんどの遺構が残る長大な城域の山城でした。利用目的のわからない平場群や自然地形の可能性が有りそうな堀切などを、勝手な想像を交えて楽しく見学できて良かったです。 ※朝比奈の城山その1はこちら