国立民族学博物館の展示物がすこし面白くなってきました。
イヌイット版画
イヌイットアートには、石製彫刻や版画などがある。1950年代末ごろからイヌイットでは自分たちの生活や世界観を
版画で描き始めた。ここではケノジュアク・アシェバク作の版画と、イヌイット版画と日本との関係を紹介する。
イヌイット版画誕生の経緯
イヌイットに石製彫刻制作を奨励してきたカナダ人のジェイムズ・ヒューストンは、版画制作の導入を思いつき、
1950年に来日、平塚運一のもとで版画を学び、イヌイットに紹介した。
影響をあたえた日本の版画
平塚運一に師事したジェイムズ・ヒューストンは、日本滞在中に民芸運動の工芸家と親交を深めた。また、彼は
ケープ・ドーセットに平塚運一、棟方志功、岡村吉右衛門、森義利の版画をもち帰り、イヌイットに紹介した。
「臼杵の石仏」 平塚運一 1940年制作 「桂離宮 天橋立」 平塚運一 1958年制作
「砂洲の棚」 棟方志功 1958年制作 「街道」 森義利 1958年制作
技術と素材
原画を描く人と彫る人、刷る人が分業する浮世絵の制作システム、和紙の使用、作者の落款を押すことが日本から
取り入れられた。しかし、木版ではなく石版が、竹皮製ではなくアザラシ皮製のバレンが使用された。
ケープ・ドーセット版画工房写真提供
原画制作 彫る
色付け 刷る
版画「さまざまな鳥たち」 制作者:ケノジュアク・アシェバク
ケノジュアク・アシェバク 民族:イヌイット 国名:カナダ 年代:1984年制作
END
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