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湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

一円札の頃。

2010年07月10日 | 詩歌・歳時記
1日のおこずかいが、一円札1枚だった。
50銭銅貨なんてものが、 流通してた。遥かな幼年時代。
ところは、茨城県土浦市、さくら川での、たなご釣りの日々。

一円札握りしめて、悪童どもが出撃するのは、町に必ず一軒はあった駄菓子屋だ。

          べーごまの 角を磨くや 鳳仙花

立て付けの悪いガラス戸は開けっぱなしだったな。
梅の形に切った、障子紙がひび割れに沿って貼ってあったっけ。
ところせましと、陳列してある駄菓子類、おもちゃの類い。

          蝋ぬって わがめんこたり 法師蝉

だが、悪たれどもが目指すのは、甘納豆のくじであることだ。
大きな台紙の下半分に、甘納豆の小袋がならんでおり、上には、景品が吊ってある。
一等は金色に輝くピストルが、射幸心120%煽り立てて、デンと鎮座してあった。

     夏の陽の 二割増したる 紙芝居

悪童の「プロ」は、甘納豆が半分ほどに減ったところで、やおら、果たし状を突き出すのだった。
袋を裏返し、貼るための糊の跡が、新しいものを探すのだ。
お店だって商売だ。早々に一等、二等が当てられてしまっては、どうにもならない。

半分ほどになったところで、当たりクジを入れた袋を、初めて台紙に貼るおばちゃん。
けれど、一度もくじを引かせてもらえなかったっけ。
おばちゃんこそ、若き日の、わが母であったことだ。

     野を駈けて
     ポケットに鳴る肥後の守
     手足の傷が勲章の日々