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日常生活のあれこれ

大英博物館 古代エジプト展

2012-09-26 07:06:18 | 美術館 博物館

           

          「古代エジプト展」の解説講演を聴いたのは7月でした。 講師の村冶笙子先生

 

           

             古代エジプト研究会でヒエログリフの研究をされている先生だそうです

 

                 

                 ギザの大地にピラミッドが建造されてからおよそ千年後の
                 ファラオがスフインクスの前に記念碑を奉納した。

 

            

               長年準備してきたそうで「古代エジプト展」の解説には情熱が感じられ
              予定時間をオーバーして、エジプトのこと、ヒエログリフのことなど
              聴いている私たちも引き込まれました。
                          

 

           

          この棺は内装が見えるように鏡をつかったそうで、実際に見るのも楽しみでした。

          砂漠のイメージが強いエジプトは雨の少ない地域ですが、ナイル川のおかげで
          青々とした豊かな畑も広がっています。

          この大河ナイルのほとりで神々の加護を受けながら日々安全に暮らすことが
          古代エジプト人の切なる願いでした。
          この考えが古代エジプト人の来世観によく反映しています。

 

           

                 大英博物館 

             年間60万人が訪れる大英博物館は1753年に創設された世界最古の
             国立博物館、所蔵品は800万点以上、中でもエジプト部門は有名な
             ロゼッタストーンをはじめ、貴重なミイラ棺、副葬品、膨大なパピルス文書
             など質量ともに世界屈指のエジプトコレクション数とされています。
              

                  

                パピルスに描かれた「死者の書」に焦点をあて、永遠の生命を
                求めた古代エジプト人の来世観が紹介されています。

 

                                  第一章     古代エジプトの死生観

                         永遠の命を求めて

                       

                         オリシス神像

                     古代エジプト人にとって、現世は仮の世界であり、  
                     来世への準備期間であるとみなされ、埋葬のための
                     準備がされた。

 

                  

                      木製供養碑

              生前の行為によって、死者の判定がされた。 その結果死者は死後に
                          再生・復活をし、永遠の命を得るものと信じられていた。

              死者が再生・復活して永遠の命を得るのにあたりとくに重要な神々は
              太陽神と冥界の王オシリス神である。

              太陽神は日中に天を航行して地上の住人に生命を与え、落日で死を
              迎える。   夜の間に西から東へ冥界を旅すると、夜明けにふたたび
              新たな生命を得る。
              古代エジプト人はこの永遠のサイクルに自分も加わることを望み、
              多くの葬送文書に太陽神への礼賛を記した。

 

           

                解説で興味を持った木製棺 

           王以外の人々の間に「コンフィン・テキスト」(棺柩碑文)-死者の書の前身ーが
           登場し、棺の内側に呪文が記されるようになる。
               
               
             

                 

                   棺の内側
                
           王族でない死者の場合、最も重要な葬送文書は棺の表面に記されていた。
                 
                
                      

                        棺の内側の絵と「コンフィ・テキスト」

 

     

          人形(ひとがた)棺に記された「死者の書」

    第25,26王朝の間、多くの木製の棺には「死者の書」からの抜粋がインクで記されていた

 

               第二章  冥界の旅

          死者が旅する冥界の環境は、現世のそれに似ていると考えられていた。
          死者が新しい命に目覚めた時に再び使えるように、墓には衣服、化粧容器と
          パレット、道具類、武器といった日常の品々が供えられた。

 

                

                     旅立ちの儀式  口開けの儀式

           墓の前で行われる儀式の様子が大きく描かれている。

           フウネフェルの死を嘆いている二人の女性(妻とおそらく娘)、ミイラに向き合う
           ように二人の神官が口開けの儀式のための道具や器を持っている。

           二人の後ろで、ヒョウの毛皮を着て香を炊き、注ぎ口のある容器から供物に
           水を注いでいる人物は喪主と思われる。
           
          下段には、母牛が嘆き声を上げている目の前で子牛が生贄にされ、召使が
          まだ鼓動を続ける子牛の心臓と前足をミイラに捧げようと運んでいる。

 

                  

                     ペスエンムウトの供養碑

                  供養碑の意味合いは、単なる墓標から特別な力を持つ
                  重要な存在へと発展した。

 

                      旅への装い

                  冥界の旅に備え、死者は埋葬室の中で守護の力を持つ
                  副葬品によって守られた。

 

                    

                         神官の人形棺

                棺に描かれた図像では、死者を復活に導く重要な儀式が
                再現されている。

 

   

           ミイラマスク   

      このマスクは、死者である所有者の穏やかな理想的な永遠の姿を現しており、
      黄金に輝く肌は、神格化した新しい姿を示している。
      喉には小さなアンク(生命のシンボル)の護符が描かれ、頭頂部には太陽円盤を運ぶ
      有翼スカラベが描かれている。

      マスクの後頭部には名前の記されていない神が並んでいるが、2番目の神は明らかに
      オシリス神、鶏の姿のバーと太陽神を現すハヤブサも描かれている。

 

         

              カノボス容器の模型

         ミイラ作りの際に、心臓を除く内臓はすべて取り除かれた肝臓、肺、胃、腸は
         防腐処理が施されたこれらの内臓はエジプト学者が「カノボス容器」と呼ぶ
         4つの容器に入れられ墓に埋葬された。

         模型として作られた鮮やかに色彩されたカノボス容器は副葬品の中で
         象徴的な重要性を持っていた。

         蓋の部分は伝統的に容器の中身を守護すると考えられたホルス神の4人の
         息子の頭をかたどっている。

 

                

                      船の模型

             主人のために食事や飲み物などを用意する召使を表した模型の像が
             しばしば置かれた。 同じようによく見られたのが船の模型であった。

 

                

                     紅玉髄とガラスの首飾り

                異なるタイプのビーズをつなぎ直したもの、外側の連なりは
                ケシの果皮の形をした30粒の紅玉髄のペンダントで出来て
                いる美しい色の首飾りでした。

 

          

         トカゲ型の護符の金製ネックレス

    宝飾品は生前から身につけられ、なくなった際にも遺体の上に置かれ、墓に収められた。
    金箔を使い型に入れて作られた2種類のペンダントで出来ている。

    トカゲは手足や尻尾が傷つき失われてもすぐに生えてくることから、再生の象徴だったで
    あろう。   しずく形のペンダントはナツメヤシの実を表していると思われる。

 

             セネトゲーム   

         冥界は一連の超自然的存在と出会い、自分が前に進む資格があることを
         証明するための場である。
         その課程を表す比喩の一つが「セネト」と呼ばれる盤上遊戯で、「通路」
         あるいは「通過」という意味を持った。

 

     

        セネトゲーム(複製)

    生者と死者のつながりが継続していること、また境界を越えて両方の世界を自由に往来
    できることを示し、しばしば墓に描かれた。

 

         

                 

              

               

                    動物風刺パピルス

          古代エジプト風刺画では、人間の行為を行う動物の描写が典型的な例として
          見られる。  このパピルスでは、アヒルやヤギの群れを飼育するネコや
          ハイエナに混じって、ライオンとガゼルがセネトゲームで遊んでいる。

 

    

          

             イトイネプの人形(ひとがた)棺

          死者は、ミイラにされて埋葬の儀式を通過することで、神と同一の存在となった

 

                   

                  ホルアアウシェブの人形型棺と女性のミイラ

                  X線調査の結果、この棺に入っているミイラは
                  若い女性のものであることが分かった。

 

         

           上半身は花模様の襟飾りで覆われ、ハヤブサの姿をした太陽神が翼を
           広げている下半身は、横方向にいくつかに区切られている。

 

         

        アニの「死者の書」; 審判 (複製)

 幾多の困難を呪文の力によって乗り越えてきた死者は、いよいよ冥界の旅のクライマックスに
 立ち向かう。 「二つの真理の間」で行われる冥界の王オシリス神の審判である。

 42項目にわたって生前に罪を犯してないことを宣言する(「罪の否定告白」)
 審判を無事通過した死者は永遠の生命を約束されて楽園に入る資格を得るが、さもなければ
 天秤の横で待つ怪獣に心臓を食べられて消滅し、人々が最も恐れる「第二の死」を迎えるか。

 現実には生前に何らかの悪いことをした心当たりは誰にでもあっただろう、しかし42の罪悪を
 否定することでそれをなかったこととし、また心臓に沈黙せよと命じることで、古代エジプト人は
 神々から自分の悪事を隠しとおせると考えたのである。

 アニのパピルスは、心臓の計量の場面がもっとも完全に描かれている作例で、他のパピルス
 ではしばしば省略される細部まで含まれている。

 

               

                   銀製の天秤皿

            審判の場面で欠かせない天秤はなじみのある品であったと思われる

 

      

          心臓スカラベ付き首輪

        「死者の書」の呪文は、審判のときに心臓が死者に不利な証言を防ぐもので、
        通常スカラベの形をした護符に刻まれている。

        首輪は蛇の形を表現しており、留め金を止めると蛇が自分の尻尾をくわえている
        形になるが、これは永遠を表現している。
           

 

            未来の楽園

 

           

                トゥイの「死者の書」;  太陽の船の旅

            死者が叶えたかった目的のひとつは、太陽の神の船に乗って永久に続く
            天の旅をする特権を得ることである。
            このパピルスのこの部分には、この願いを叶える重要な呪文が記されている

 

             

                   精霊バーとミイラ (部分)

            古代エジプト人が1人の人間を構成する要素と考えていたものが5つあった。
            そのひとつは「バー」で、死後も墓から出て自由に動き回れる霊魂と考え
            られた。
            「死者の書」にはこのバーが「日の中に出てゆくための呪文」という言葉で
            始まっている。
               * バー 古代エジプトにおいて人間を形成する要素のひとつで、
                      「精霊」「魂」を意味する。
                      人の死とともに肉体から離れ、自由に動き回ることが
                      できる。  頭は人間で体は鳥で現される。

 

                  

                      ヘヌウトヒメトのシャプティ

                シャプティは重要な副葬品として登場した、これらのシャプティは
                アメンの歌い手ヘヌウトメヒトのために用意された40体セットの
                一部である。

 

                  

                     ヘヌトヒメトのシャプティ・ボックス

                  厨子の形を模した木箱、これは4つの箱のひとつです

 

                注目の世界最長「死者の書」  <グリーンフィールド・パピルス>に
                続きます。
     

     
         


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