しなこじダイアリー

日常生活のあれこれ

「熈代勝覧」 絵巻 続き其の弐

2010-02-01 22:18:15 | Weblog
                    神田今川橋から日本橋通りを十軒店から、本町あたりに入ります。



                      

                       鯛を運ぶのは結納途上の一行


 

   書物問屋 出雲寺和泉 (屋根看板と箱看板)    お茶漬け屋 朝日屋(障子看板、提灯看板) 丸窓も粋な茶漬屋、
                                  小女を置いて酒を飲ませる店か、昼間から一杯?


 

   (左)亭主ほおって風流遊び 下男に花見弁当と角樽持たせた、お武家の女性ご一行、目指すは上野のお山か、
      隅田川の土手縁か、実にうきうきと楽しげである、雪月花に紅葉の宴、芝居見物に船遊び、神社仏閣巡り
      はたまた湯治と、ご婦人達が積極的に出歩くのは日本独特の風習とか   奥の2人は巡礼。 

   (右)中央は本堂建立の勧進 江戸の名刹火事で焼失、本堂建立の資金稼ぎに念仏唱えて講中道中、
      隠居婆さんの趣味と実益を兼ねた一種の老人クラブ、ついでに江戸の町を見て歩けば、もっけの幸い。 

      左手前、市中一早耳、読売り 岡っ引きが来たら即逃げ出す構えの深編笠をかぶった2人組、1人は巧みな
      話芸で読み上げる、お上への批判、道行き心中、仇討ち、殿中での事件など、続きは読んでのお楽しみ。
      昔は生乾きの瓦に彫って摺ったといわれたので、瓦版とも。

      手前中央 六十六部(六部とも言う)仏像を背負い「南無妙法蓮華経」と唱えながら、書写した法華六十六部を
      諸国の札所に奉納する回国聖、信心より罪を犯したものが村を出るため六部の姿となる場合もあった。


 
 

   手前 屋台の鮓売り?  猿回し          町娘に評判の「玉屋」京都に本店を持つ江戸有数の白粉、紅問屋
                                 この頃「雲井香」という名の香料が大ヒット京の化粧品といえば、
                                 舶来の香がする高級品、店に並ぶ器も美しい。
                                 手前は菓子立ち売り桐屋



 

手前中央古着売り、辻駕籠とその前は禰宜(昔の神職の一種) 初物食い 旬になる前の初物を食べるのが江戸っ子の粋
                                       中でも初鰹は大いに好まれ、異常な高値に、幕府は
                                       貞享三年初物禁止令を出すも、当然ながら効果薄
                           
                                       奥は塗師


 

   (左)帳面問屋 大坂屋と立て看板 黒塗りの用水桶、黒渋塗りの防火用水桶は防腐の意味もあろうが、
      大店の羽振りの良さを顕示する珍品、水道から引いた井戸の上に汲み桶を置くのが普通の防火用水

   (右)持者  後ろをゆくのは巡礼


 

   (左)お上りさん  どこから来たのか二人連れ、道中羽織に脚絆、手には杖と笠の典型的な旅姿。
      指さす駿河町通りの先には江戸城、富士山。 ここは日に千両、万両落ちる江戸随一の観光ポイント
      「三井越後屋」江戸店前 風呂敷包みを背負う2人は三井越後屋の小僧  その前は菜売り

   (右)結納を運ぶ 家紋染め抜きの布を掛け嫁方えへ結納品を持って行く武家の使者、中身は、帯代と称する金、双鯛、
      熨斗鮑、昆布、するめ。




 

   天下の豪商「三井越後屋」 江戸随一の大店  銅葺きの雨樋、紅殻格子の店構え 手桶を積み上げた天水桶は
   いかにも大店の自前、駿河通りをはさんで右側が呉服を商う江戸本店(ほんだな)左側が京糸物や袈裟を扱う問屋
   店先売りの現金決済で儲けた金を元手に両替商も、幕府御用も。

   表通りの間口は狭いが、駿河通りの両側に半町ぐらい延びる店先、店内にはありとあらゆる反物と切地、
   最新流行の着物を二刻(約四時間)で誂える急ぎ仕立てもあり。 ただし支払いは現金掛け値なし。

                     
                       
          
                      竈(かまど)の運搬
 

   

    (左)老夫婦の引っ越し 大八車の上には盥(たらい)に水甕、行灯と生活家財道具の一切合切
       これが豊かな老夫婦の長屋暮らしの標準か、どこか上品な婆さん、華やかな暮らしの片鱗が行灯に。

    (右)妙に浮いてる2人連れ 唐傘持った亭主を従え、だらりの帯の小生意気な姐さん、最新流行のつもりが、
       道行く人から好奇の目、近在から来た夫婦か、「ここが天下の日本橋よ、私はよく知っているけどさ
       あとで玉屋で上物の紅を買うからね」   「なんか物入りになりそうな」


 
 
    辻駕籠  僧侶と稚児                  おや、鷹匠がいる 将軍の鷹匠が登場するのは
                                   江戸城近くゆえ、こんな目抜き通りの町中で鷹を連れ歩くのも
                                   人込みに馴らすための調教の仕上げ。                                                                                               
                                   見ているのは竹笊売り
 
     
                    

          4軒並んだ「木屋」 この木屋の右隣に井桁に木の商標の店が現在の刃物の木屋の先祖か、
          「木屋」は大阪で豊臣家出入りの薬種商人が江戸へ出て商売販路を拡大させたという。
          暖簾分けの祭、微妙に業種を変え、ここでは基本の小道具商いに、火打ち石、陣笠などが
          各店の特色、1軒は普請中


                    

          ただいま普請中 「普請の内、蔵にて商買仕(つかまつり)候」と書かれた下げ札、
          さすが日本橋の大店・木屋、仮営業店舗でしっかり商い中。
          大八車で運んでいるのは、礎石にする切石、どんぶり腹掛けに股引姿もいなせな鳶の衆
          木遣りを歌いながら地固めの真っ最中。


            室町1丁目から日本橋へは次回になります             

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3 コメント

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Unknown (darukyo)
2010-02-03 13:45:39
大変面白い絵巻ですね。
人々が生き生きとしていて、今にも話し声や街の喧騒が聞こえてきそうですね。

昔の絵本「絵草子」や「草草子」「浮世絵」などを売っていた問屋の図版はないですか。
看板に「蔦屋」と出ているかも。
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Unknown (しなこじ)
2010-02-03 19:56:34
darukyoさん
この絵巻は日本橋に向かって右側の店のみなので、「蔦屋」は見あたりませんね。
書籍は須原屋善五郎、市兵衛の2軒でした。
ベルリン東洋美術館で中国に分類されていて、日本の専門家がスタッフになり見つかったとか、、、
本当に生き生きした江戸の人々の生活がうかがえて楽しい絵巻です。
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ありがとう (中2)
2015-08-12 15:27:05
役に立ちました。
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