晴れ、ときどき映画三昧

「OK牧場の決斗」(57・米) 65点

・ ワイアット・アープとドク・ホリデイの友情物語。

 
 アリゾナ州トゥム・ストーンで起きたアープ一家とクラントン一家の争いをもとに保安官ワイアットとドク・ホリデイの友情を描いた王道を行く西部劇。
監督はジョン・スタージェスで決斗3部作やその後の「荒野の七人」「大脱走」でその名を知られている。必ず比較されるのは巨匠ジョン・フォード監督の「荒野の決闘」(47)で、同じ話なのに雰囲気がかなり違う作りになっている。
 ヘンリー・フォンダ扮するアープが詩情豊かに登場人物のドラマが繰り広げられ<愛しのクレメンタイン>が流れるJ・フォード版に対し、こちらはフランキー・レインの主題歌とともに決斗に至るまでの経緯を連ねながらドラマを盛り上げる作り。   どちらが好みかは人によるが、筆者は「駅馬車」と並ぶJ・フォードの最高傑作と言われる「荒野の決闘」に軍配を挙げたい。

 主役のワイアット役バート・ランカスターは男らしく逞しいが、人間味があまり感じられない。孤高の保安官と流れてきた美しき女賭博師ローラ(ロンダ・フレミング)との出逢いと別れが類型的で、無理やり決斗シーンにつなげる伏線に過ぎない扱いが消化不良。演技的にも見せ場が少なく気の毒な面もあった。
 反面カーク・ダグラスが演じたドクは不治の病・肺を患いながらとてもダンディ。エリート医師が賭博師に落ちぶれ何処か死に場所を探している風情が滲み出ていた。アメリカ版・平手御酒に似て、決まり過ぎの感もあるが儲け役だった。
 ドクの情婦・ケイトには「エデンの東」のジョー・ヴァン・フリートが扮しているが、達者な芸も見せ場がなかった。年齢のせいかK・ダグラスとのバランスも良くなく、リンゴ・キッドに乗り換え、また戻る節操のない女にしか見えなかった。このあたりが「荒野の決闘」との比較で見劣りするのはシナリオの出来の差か?
 クランプトン一家の末弟ビリーはジョン・フォード版では本作でのリンゴ役ジョン・アイアランドが扮していたが、本作ではデニス・ホッパーが演じている。若くして後のブレークを予測させる輝きを感じた。他では出番は少ないが、マカロニ・ウェスタンの個性派リー・ヴァン・クリーフが序盤に登場しているのも楽しめる。

 史実を踏まえフィクションを取り混ぜた本作のほうがドラマ性を重視した「荒野の決闘」よりオーソドックスな作りともいえるが、本格的西部劇としては中途半端な印象。反面、デミトリ・ティオムキンの音楽とフランキーレインの主題歌によって上手くカバーされていて西部劇ファンにとって傑作映画であることは間違いない。

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