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「待つ」と「電撃行動」で目的達成『吉原手引草』

2019-07-25 07:54:49 | 歴史から学ぶ

@「執念」、父と兄を無残にも切腹に追いやられたその無念を娘が覚悟し花魁になり仇討ちを成し遂げる小説。事件後の聞き込みから始まるこの小説は次々に核心に迫っていき、何故花魁になったのか、目的は何だったのか。結末でようやく納得がいく構成内容は素晴らしい。 この小説の花魁の「執念」=目的達成まであきらめず我慢強く待ち、時が来た時には一瞬で機敏な行動をする事。 忠義「武士の魂」を感じる小説だ。(江戸の敵を長崎で討つ)

『吉原手引草』松井今朝子 第一三七回直木賞受賞作。

  • 廓遊びを知り尽くしたお大尽を相手に一歩も引かず、本気にさせた若き花魁葛城。十年に一度、五丁町一を謳われ全盛を誇ったそのとき、葛城の姿が忽然と消えた。一体何が起こったのか? 失踪事件の謎を追いながら、吉原そのものを鮮やかに描き出した時代ミステリーの傑作。
  • 14歳で吉原に一人の侍と一緒に身売りに来た娘、初音。花魁になるため様々な苦痛と苦労を背負って10年後五丁目一番の花魁になる。廓に慣れた豪商の息子、商売で蔵を建てるまでになった青年など身請け話なども多く、丁度身請け人が決まった時点で、侍が殺されると言う事件が発生する。そして花魁の姿が消えた。
  • 事件は世間に公にできないと言う侍側の理由で、逃げた花魁も追跡されなかった。当時、武家は跡継ぎが決めないうちに主人が亡くなると即断絶となり、この場合も当主殺害はお家断絶となることから家臣等が恐れ、事件を闇に葬った。
  • 初音(武家育ち)は父と兄が上士にことごとくいじめの仕打ちで、殿中沙汰となり嬲り殺された恨みがあった。その上士がこの楼閣に住処を移したことを知り、自ら吉原で仇を討つことを決めていたのである。初音は美人で、利口で、心ばえがよく3拍子揃っていた。初音は人を見抜く力があり多くの人を動かし(味方にし協力させ)執念を持って達成した。
  • 当時の花魁の身請け金額は総額1千両。身請けだけで7百両、その他茶屋、朋輩衆、遣手、新造、見習い芸者、幇間などへの祝儀を含む。
  • 花魁になるには6〜7歳から始まる。花魁が見世から頂戴しているのは朝夕のおまんまと行灯の油だけで、部屋はもとより畳、障子、襖、蝋燭、火鉢の炭代など一切花魁持ちとなる。花魁は書に才能が必要(手紙を多く書いた)「女郎の誠と四角い玉子は無い」と言われるくらい男を騙す商売(大嘘つきは当たり前)、その他歌や俳諧なども学んだ
  • 身売りの仲介役、女衒の身請けのコツ(見るところは)
  •       涼しく張った眼・鼻筋と口元・品の良さ
  •       髪(黒々とした)と肌の色(色白い)
  • 女の技「袖の露」(泣くことで許しを得る女の技)