紅白出場の約束が叶えておめでとう🎉
— 音楽が命です THE SECOND (@ongaku_tv2nd) December 31, 2021
🔴第72回 NHK紅白歌合戦⚪
♪ プロミスザスター / BiSH ①#BiSH紅白 pic.twitter.com/28c7OC4Rwc
先日の紅白で、僕が一番、心に残った出演者が、この曲を歌ったBiSHでした。
もともと聴いたことのある曲でしたが、紅白の本番、この歌を聞いた時、「なんだ、これは?!」って思いました。
まず、バックミュージックの音とボーカルの音のバランスが悪すぎる。やたらボーカルの音だけが大きくて、しかも、かなり荒々しい歌い方になっている。
サウンドと歌のバランスも悪いし、歌のピッチも音程もかなり不安定な感じになっている。
でも…
アイナ・ジ・エンドさん(?)の歌うサビの「だから僕は待って待って…」/「変わらない思いをもっと…」というところが(上手いかどうかは別にして)ものすごく印象的だったんです。「味のある歌い方」になっているというか。
極端な言い方をすれば、「むちゃくちゃな歌い方だけど、故にめちゃめちゃ味のある歌になっている」、という感じ?! 感覚的には、「突然、これまでに食べたことのない未知の料理を食べて、げげっ…ってなったけど、食べているうちにハマっていく」みたいな?!
(こちらがそのフルバージョン≒別番組)
で、ネットで色々調べてみたんだけど、このBiSHの歌をめぐって、かなり激しい議論が起こっていることが分かりました。「ヘタクソだ」「歌じゃない」「解散して当然」みたいな声がいっぱいあって、ビックリしました。
ビックリはしましたが、この批判の仕方がすごく今っぽいなと思いました。
ピッチを外さないこと、音程が狂わないこと、音符通りに歌うこと、そういうテクニカルな部分でしか、音楽が聴けなくなっているんだなって…。
そして、ちょっとでも音程やピッチがずれただけで、袋叩きにするところも、すごく今っぽいなって。(いったいどんな人間が叩いているんだか…)
でも、この紅白での彼女たちの感情的でとっても人間らしい「歌」を、テクニック云々といったフレーム(バイアス)を外して聴いてもらいたいですね。
すごく、エモーショナルで、パッションに溢れてますよ。若者らしい勢いとか、若者らしい叫びとか、若者らしい疾走感とか、若者らしい荒々しさがぎゅっと詰まってるじゃないですか。
こんなにも、若者らしく、人間らしく、感情豊かな歌を、紅白でいったいどれだけの人が聴かせてくれたでしょうか。僕はそれこそ、クラシックもオペラも演歌もロックもメタルもジャズもブルースもフュージョンもR&Bもヒップホップもアンビエントもダンスビート(ユーロビート)もテクノもワールドミュージックも雅楽もなんでも好んで聴きますが、彼女たちの歌やパフォーマンスは、その楽曲の良さも含めて、とても素晴らしいと思いました。
…
BiSHの他の動画を見ると、紅白の時よりも(音楽と歌のバランスも含めて)はるかにはるかに良いのです。
こういう感じで、紅白でも歌えれば、ここまで激しいバッシングは起こらなかったと思うんですね。
でも…
もし、彼女たちがこんな感じで、卒なく上手に普通に歌っていたら、きっと普通に流されて終わっていたと思いませんか? 曲的にも普通にいい曲ですし、これで普通に歌っていたら、「普通にいい曲だね」で終わっちゃうと思いませんか?
今回の紅白の件を邪推すれば、「これは、敢えてそうやったんだろうな」と僕は思っています。現代日本の空気に、敢えて抗ったんだろうな、って。「上手に歌うことをやめて、自分たちらしく、自由に思いっきりやろう」って決めたんじゃないかなって思います。
今の音楽業界は、色んな意味でテクニカル過ぎるんです。マニアック過ぎるんです。細かく過ぎるんです。上手過ぎるんです。でも、それって、「枠内におさまりたい」「形式通りでありたい」という権威主義的パーソナリティーから来るものなんじゃないか、って。
どの歌い手さんも、ホントに巧いし、ピッチも外さないし、きっと歌のレッスンもやってるだろうし…。
でも、じゃ、心に刺さるような歌、人の人生に入り込んでくるような歌になっていますか?と聞かれたら、どうでしょう?! 綺麗な歌は、それはそれでよいですが、藁にもすがる思いで音楽を聴いている人(特に若い人たち)の心には響かないものです。
BiSHは、今の若い子たちに支持されているグループだって聴きます。
🟥BiSHの皆さんで『プロミスザスター』
— NHK紅白歌合戦 (@nhk_kouhaku) December 31, 2021
約束の地 紅白のステージでした!
🔻NHKプラスでスマホからも📱⚡️https://t.co/bKFKm1NiD3#NHK紅白 #BiSH pic.twitter.com/pwv4Tl5OKL
(このNHKのツイートのコメント欄には、そんな若者たちの感動の声がいっぱい集まっています)
僕もかつてはそうでしたが、若い時って、別に「上手い歌」が聴きたくて、誰かの歌に没頭するんじゃないんですよね。もちろん上手くて味があるなら、それに越したことはないけれど、、、
でも、上手いかどうかじゃなくて、エモーショナルかどうか、パッションを感じるかどうか、熱いかどうか、心に刺さるかどうかだと思うんですね。
そういう意味で、今回の紅白歌合戦で、一番熱くて、一番輝いていたのは、BiSHだったと僕は強く思います。もちろんテクニカルな点で色々言うことはできますよ。でも、そこが問題じゃない。
むしろ…
彼女たちの歌に対して、傍観者的な視点でネット等で叩いている人間の方こそが問題じゃないの?って思うんです。「あんた、どの立場から、それ言ってんの?」って。「もし、あんたが10~20代で紅白に出ることになったとして、あれだけ熱いステージを見せることができるのか?」って。
それに、「上手いことが正義だ」「歌が上手いことがすべてだ」と思っている人こそ、音楽を冒涜してんじゃないの?って思いますね。音楽とて、芸術(アート)です。アートには、そもそも上手いも下手もない。その人が表現したいことが表現できていれば、パーフェクトなんだから。
プロだから云々とかっていう人は、プロの定義を狭くとらえ過ぎてます。プレイヤーとしてのプロであれば、かなりのテクニックが求められるでしょう。でも、ボーカリスト・アーチスト・シンガーとしてのプロは、別にテクニック云々じゃないはずです。僕が大好きなニューロティカは先日武道館ライブを成功させましたが、あっちゃんも、お世辞でもなんでもなく、決して歌は上手くないです(苦笑)。本人もそれは認めてますし…。
また、(今回僕の心に響いた)アイナさんは、そもそも、こんなに歌は上手なんです。
ね、上手いでしょ?!(苦笑)
これを見ると、かつての椎名林檎やジュディマリのYUKIクラスの女性シンガーになるんじゃないの!?って。
これだけの歌が歌えるボーカルなんです。
…
何が言いたいかというと、紅白でのBiSHの歌に文句をいっている人こそ、音楽のもつ本来の意味を忘却しているんじゃないんですか?ってことです。
そして、(うわべの)上手いか下手かでしか評価ができないということ自体、ヤバくないですか?!ってことです。
下手でも心に響く歌はある。いや、下手(風)だからこそ心に響く歌っていうのもあるんですよって。だからこそ、紅白で彼女たちが歌い終わったあと、大泉さんも「かっこよかったよー!」って心から叫んだんだと思います(大泉さんは、きっとそういうところまで見えている人だと思うので…)
なんで、(ファンでもない僕が)ここまで熱くなって書いているかと言うと、、、
紅白でのアイナさんが、かつて僕が大好きだった「マサ子さん」のボーカルに重なって見えたんですよね(苦笑)
マサ子さんのボーカルのマユタンに重なったんですよね。かつて僕はマユタンの大ファンでした💓
マユタンもまた、30年前に皆に苦笑されました。でも、マユタンの歌に勇気づけられた人もいっぱいいました。それに、今みたいに「ヘタだ」という理由で激しくバッシングされることもありませんでした。みんな、「(苦笑)」って感じなだけでした。それに、「面白いバンドだなぁ」って思えるほどの余裕というかゆとりというか寛容さがありました。
今の時代、そういう寛容さが全くなくなってないか?!って。
紅白に、一組くらい、BiSHみたいに「情熱と感情と勢いで突っ走るようなグループ」がいたっていいじゃないですか。彼女たちの歌を聞いて、「(苦笑)」でいいじゃないですか? あるいは、「こういうグループも必要だよね(笑)」という余裕があってもいいじゃないですか。それがないことに、僕は一番危惧します。
紅白でのBiSH、ホントにホントに最高にカッコよかったです\(^o^)/
2021年の最後にいい歌に出逢えました。紅白、ありがとう!
…
PS
この件で思い出すのは、インディーズ時代の黒夢の清春かな?!って。
当時、黒夢のライブによく行ってましたが、正直なところ、いったいどこをどう歌っているのか、よく分かりませんでした。ピッチも音程も何もないぞ…って(苦笑)
でも、僕を含め、たくさんの人が清春の歌の虜になりました。上手いか下手かではなく、カッコいいかどうか。ピッチが合っているかどうかじゃなくて、心に歌が刺さるかどうか。
同時代に、LA'rc en cielがいました。hydeはその当時からとても歌が上手でした。でも、僕の心にはあまり刺さりませんでした。ヴィジュアル的にはカッコよかったし、楽曲もすごくよかったし、大好きでした。が…、清春ほどの「棘」や「荒々しさ」はなくて、僕には、黒夢の清春の方に気持ちが向いていました。
今回の紅白のBiSHに、その清春ismを感じたというかなんというか…
PS2
BiSHって、この曲を歌っていたグループだった…!
この曲、(誰だか分からないまま)好きだったんだった…😂
PS3(2022年1月28日)
この動画でも指摘されているように、アイナジエンドさんの「声」「歌」に、ホント「力」があるんですよね。彼女の声も魅力的ですが、他のメンバーの個性も光っているし、ダンスも(うまいかどうかを超えて)すごく力があって、印象的な振付が多くて、凄いなぁって思います。