🍜新シリーズ【新時代のラーメン批評】②
「また行こうと思うラーメン店」と「そうでないラーメン店」
先日、ラーメン評論家の山路力也さんがFacebookで、こうつぶやいていた。
また行こうと思うお店とそうじゃないお店の違いは何なのか。そんなことを語り合う大名の夜。楽しいなぁ。
山路さんは、ラーメン店に限定して言っているわけではないかと思うが、この「問い」は、ラーメン批評の基本の基本として、面白いテーマだなぁと思った。
この山路さんの問題提起を踏襲して、今回はこの両者の違いについて考えてみたい。
また行こうと思うお店の条件とは何か?!
…
①「近さ」
また行こうと思うかの前に、まずはまたすぐに行けるか、だ。
僕も日々、色んなお店に行くが、そのほとんどが「一度きり」で終わってしまう。その理由は「遠いから」である。とすると、まずは、「近いから」という理由がまず上がる。
実際、また行こうと思うお店のほとんどが、自分の生活圏内となる。ラーメン店で言えば、よほどのラヲタ・ラーメンマニアでない限り、「日々の生活圏内」以外の場所に何度も食べに行こうとは思わないだろう。
「また行こう」と思うかどうか以前に、まずは「また行けるかどうか」が問題である。近くにあるお店で、よほど酷いお店でなければ、自ずと再度食べに行ってしまうだろう。
②「旨さ」
では、近ければ、それだけでまた行こうと思うかと言われれば、NO!である。
「また行こう」と思えるためには、自分自身が(主観的に)「旨い!」「また食べたい!」と思えなければダメである。自分自身にとって「旨いかどうか」「美味しいかどうか」が、「近さ」に次いで、沸き起こってこなければならない。
旨い・美味しいと思えないお店には、二度と行きたいとは思わないだろう-ただし、好奇心があって、他のメニューはどんな味だろう?って思えたら、二度目まではあるかもしれない…。
特別美味しくなくとも、居心地の良さや接客の良さがあれば、二度目、三度目くらいまでは行くのではないだろうか。リピーターになるかどうかはまた別の問題として。
③「比類なさ」
だが、その「美味しさ」がどこででも楽しめるのであれば、「そのお店」でなくてもよいことになる。
「家系ラーメン」が好きな人は、そのお店じゃなくても、家系ラーメンは食べられる。杉田家が好きな人は、だいたい末広家も、千葉家も好きである。それ以外にも、柏王道家や濱野家などもきっと好きだろう。
家系ラーメンは「中毒性」が高いので、これが「いい例」だとは思えないが、こんなふうに「他でも食べられる美味しいラーメン」であれば、わざわざ一つのお店に固着することはないし、むしろ、色んなお店の家系ラーメンを試してみたくなるものだ。
僕自身、「がんこラーメン」が好きだったので、いろんな「がんこ系」のお店を食べてまわった。どのがんこのラーメンも美味しいけれど、自分がこよなく愛したのは、本郷三丁目にあった「がんこ」だけだった。
とすると、「近さ」、「旨さ」と並んで、「そこでなければ食べられない味」である、ということが重要になってくる。「また行こうと思うお店かどうか」は、そのお店の味に似た味が他では楽しめないかどうか、ということになる。
④「店主の人柄・親しみやすさ」
また行こうと思うお店には、「また会いたい」と思える店主さんがいる。また会ってみたい、またお見かけしたい、またお話してみたい、またあの人のつくるラーメンが見たい…etc.、店主さんの憧れやリスペクトもまた、その大きな要因であるように思う。
例えば、「支那そばや」のラーメンは、たしかに美味しいけれど、それ以上に、佐野さんのお姿が見たくて通っていた人はとても多かったはずだ。がんこの一条さんも、ファンにとっては特別な存在であり、一条さんに会いたくて行っていたお客さんもとても多かった。
東池袋大勝軒のキャッチフレーズは、「鶏ガラ・豚ガラ・人ガラ」でした。そのお店の店主さんのお人柄が偲ばれるお店であれば、「また行きたい!」となるし、そのお人柄が残念だった場合、そこの料理がいくら美味しくてもまた行きたい!とは思えない。
⑤「魅力あるメニューのバリエーション」
二度、三度と訪問するお店に共通するのは、「メニューの多さ」「バリエーションの多さ」だ。一度食べただけでは語れないお店というのは、だいたいそういうお店だ。
近年では、「鶏白湯ラーメン」と「煮干しラーメン」の両方を出すお店がある。こういうお店の場合、二度目の訪問の可能性もとても高くなる。そこに、「背脂煮干しラーメン」があったら、三度は来たくなるし、更に「鶏白湯煮干しラーメン」があれば、四度は来たくなる。
ただ、逆にそのメニューの量が多すぎると、逆に「もういいや」ってなってしまう恐れもある。町中華系だと、あまりにもメニューの量が多いので、多すぎるので、まぁ、どれもそんなに変わらないか、と思ってしまう瞬間もあった。
魅力的な幾つかのメニュー(ネーミングも含めて)がしっかり用意されていると、「また行こう」という気になる。それは間違いないだろう。
⑥「敷居の低さ」
敷居の低さは、僕が(飲食に限らず)最も重視しているポイントだ。
また行こうと思うか否か。その決め手となるのが、敷居の低さではないか。例えば、営業時間がわりと長めに設定されているとか、臨休が極めて少ないとか、SNSで常に最新の情報を発信しているとか、お店の人が不愛想でなく不親切でもないとか、厨房が殺気だっていないとか、お求めやすいお値段(主観的に「妥当なお値段」)になっているとか…
一回目の訪問の際に「敷居」が低いと感じられるかどうか。意外と、これはとても重要なファクターのような気がする。「いつでも、どんなときでも、安心して来られる」、というのがやっぱり「また行こう!」と思う原動力になるというか。
これは、何も「お店」だけの話じゃない。教師や保育士にとっても実は大事な要素のような気がする。すべてにおいて、「敷居の低さ」は、人相手の仕事においてはとても大事なのではないか、って。
行列店であれば、なおさら「配慮」が必要です!
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というわけで、「また行こう!」と思うお店の6つの条件を提示してみました。
これだけじゃなくて、色々と他にも条件はあると思います。
逆に、「また行こうとは思わないお店」というのも実際にあるわけで、それも言葉にできたらな、と思いますが、それを書くとまた記事が長くなるので、この辺で( ´艸`)。
上の6つの条件をひっくり返すと、「遠くて」「美味しくなくて」「ありきたりで」「店主に魅力や親しみやすさがなくて」「メニューがワンパターンで」「敷居の高い」お店ってことになりますね。こうなると、そりゃ誰も行きませんよね。
ただ、それでも、「いつ行ったお店」とか「誰と行ったお店」とか「どのタイミングで行ったお店」とかで、また変わってくるんですよね。どれだけ酷くありふれたお店でも、そこで何らかの思い出になるような経験をしたら、そのお店が「特別なお店」に変わりますし。
それに、最初は「怖そう…」って思う店主さんでも、通っているうちに、「ああ、実はいい店主さんなんだ」って思うこともありますからね。
また、最初は「げ、何だこの味…」と思う料理でも、食べているうちに、「ヤミツキだわ~~💖」ってなる料理もありますからね。
食の世界は、どこまでもどこまでも深いのであります!!✨
店内の広さや、テーブル席の座り心地の良さも、「また行こう」と思うかどうかにつながるかな。
あと、家族連れのファミリー層、独身層、若者層、おじいちゃん・おばあちゃん層でも変わってくるか。
嗚呼、これは、もうまさに「難問」だわ、、、😨