Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

バンドをやるって、ものすごい大変!-バンド活動論-

メモ的に。

バンドをやるのって、すごい大変。

箇条書きにすると、、、

①バンドメンバーを探す。理想と現実の挟間でもがく。まず、ここで多くの人がつまづく。(たとえ見つけても、最初の数回の練習で見限られることも多々ある)

②スタジオに入って、定期的に練習する。予定を合わせるだけでも大変。一般的には、週に一回~二回のペース。ただし、回数をこなしたからといって上手くなるわけではない。各メンバーのレベルが高ければ、数回のリハでライブは可能。

③オリジナル曲を作る。それ以前に、曲作りのための基本的知識や経験を積む。ここは勉強。

⑤オリジナル歌詞を書く。それ以前に、言葉をよく知っておく。本を読む。思索する。言語センスを磨く。ここも勉強。

⑥音源(デモテープ)を作る。それ以前に、録音機器を買う。使いこなせるようにする。今の主流はPCで、Pro Toolsなどが有名。僕は断固としてMTR派(今や少数派)。

⑦ドラムのパターンを考える→ベース、ギター、シンセ等のメロ、フレーズ、リフを考える。全部の楽器を一通りやれるようにする。(ある程度のレベルの人は、ピアノ、ドラム、ベース、ギターは一通り、人並み以上にプレイできる)

⑧宅録(自宅レコーディング)する。個人差はあるけど、一曲完成させるのに、僕は15~20時間くらい使う。

⑨⑧で作ったデモテープ等を基に、バンドで曲を完成させていく。その作り方は千差万別。

⑩③~⑨を数回繰り返す。

⑪自分たちのオリジナル曲を成長させていく。進化させていく。(定期的なバンド練習→話し合い)

⑫ライブハウス等への出演のための準備をする。ライブハウスに音源を送る。交渉する。面接する。(このライブハウス選びについても、真剣に考えなければいけない。「いいライブハウス」と「悪いライブハウス」を見極める目を鍛えることもとても大変) ライブハウスの「通常ブッキング」を目指す。

⑬ライブハウスの出演が決まったら、練習のみならず、人を誘う。人を呼ぶ。人をとにかく集める。その努力も実は大切。

⑭ライブをする前に、フライヤーを作ったり、グッズを作ったり、アンケートを作ったりする。衣装。ライブの構成。セットリスト…。もちろん印刷費、製作費は全部自腹。フライヤーを作ったら、自分で持ち込んで、掲示してもらえるよう、ひたすらお願いする。

⑮ライブをする→以後、⑪~⑭を繰り返す(合わせて、③~⑨も繰り返す)。ライブハウスとの信頼関係を作る。イベント等のチェック。HP、SNS等の作成。次なる戦略を考えて、実行する。

⑯スタジオ等でレコーディングをする。そのための準備をする。楽譜を書く。エンジニアの依頼等。

⑰各メンバーのレコーディング。その後のミックスダウン、マスタリング等。編集作業もかなり複雑。

⑱録音した音源をCD化する。歌詞カード、ジャケット、レイアウト、パッケージ、その他もろもろ。(もちろん有料)

⑲CDの宣伝。売り込み。頼み込み。CDショップ、広告代理店等への営業。プロモーション。PVづくりも。

⑳②に戻る。その間に、メンバー間での絶え間ない対立、不和、不信、決別等があり、途中で空中分解…?! メンバーチェンジもなくはない。

(↑⑳はちょっとブラックなユーモアです♪)

 

一応、⑳で終わらせるためにこう書きましたが、こんなもんじゃないです。

アマチュアバンドなら、これら全てを、仕事の合間にやります。やらなきゃなりません。

バンドをやっている人は多いけど、上に挙げたその全部をちゃんとやれる人はそういないかな、と思います。

自分のパートの音への責任をもつのは、当たり前のこと。当然のこと。やって当たり前。

それ以外の地味な作業こそ、バンド運営には欠かせないんです。個人芸を向上させるだけなら、バンドなんてやんないで、一人で自宅やスタジオでやっていればいい。けど、バンドをやって、そのバンドを成長させていこうとするなら、あらゆることができなければいけない。自分のプレイだけに専念できるとすれば、それは、他のメンバーがそれをやってくれているというだけ。(研究と似てる気がする… 研究熱心な先生が研究に打ち込めるのは、他の先生が校務や雑務をしてくれているから。その両方をしっかりやっている大学教員はなかなかそう多くない)

作詞、作曲は、それこそバンド活動をやっていると、当たり前のように出てくるけど、作り手からすれば、一曲生み出すのにどれだけ労力を使うことか。曲を作るための基礎知識も膨大だし、そもそも何かを生み出すというのは、本当に大変な作業)。さらに、PCやらMTRやらで曲を作る人は、前提となる膨大な知識を学んで、その上で、長い時間をかけて、創作活動に専念する。(だから、僕的には、プレイ以上に、楽曲に敬意を表します)

バンドでライブをするとなれば、人を呼ぶのだって仕事。僕は昔から、とにかく集客努力は頑張ってきた。これ、一番面倒くさいこと。一番したくないこと、とも。チラシを作るのだって、本当に大変だし、時間もかかる。けど、しなければ、誰にも伝わらない。ネットでの呼びかけって、バンド活動的には、ほとんど効果がない。twitterやらなんやらで呼びかけても、それで誰かが来るっていうことも、そうそうない。あるわけない。地道な電話での呼び込みが一番効果的(?!)。そういう努力も、バンドをやる上では必要。時に、嫌われることも覚悟する。

最近のバンドは、アンケートとか、やらなくなってる気がする。ライブに行っても、アンケート用紙が入ってないことも多々ある。昔は、どのライブに行っても、しつこく「アンケート回収してまーす!」っていう声が響いていたけど、今は響かない。代わりに、デモCDが無造作に置かれていたりする。アンケートはやれるならやった方がいい。ラーメン屋さんだって、熱心なお店であれば、アンケート用紙が必ず置かれている。

何が言いたいかというと、バンドをやる、ということは、歌、楽器云々だけではなくて、ありとあらゆることを丁寧にする、ということ。頭も下げることも多い。どこに行っても、「よろしくお願いします」、というべきだし、いわなきゃいけない。プライドの高さは驕りでしかない。お金だって出ていく一方で、入ってくる収益なんて、アマチュアバンドには一銭たりともない。常に謙虚さが求められる。

そして、上に挙げた①~⑳の繰り返しの中で、何か、予想しないことが起こったり、起こらなかったりするわけです。

この繰り返しの中で、たまたま大手プロダクションから声がかかることもあるかもしれないし、何らかのコンテストにでることになるかもしれない。CDが予想に反して売れちゃうかもしれない。メディアに取り上げられて、話題になるかもしれない。口コミでじわりじわりとファンを増やしていくかもしれない。全部、「かもしれない」のレベル。

でも、そういうことを狙ってやってもダメで、①~⑳の不断の繰り返しの中で、バンドの成長を常に考えておく必要がある。というより、①~⑳の繰り返しを楽しめる人たちだけが、「バンドマン」として生き残っていくのだろう、と思う。生き残る、というのは、「売れる」ということじゃない。バンド活動そのものが続く、ということ。

純粋にバンド音楽をリスナーとして楽しむ人は、こんなことを知る必要もないし、知る義務もない。

けれど、どんなバンドでも、ステージに上がっているそのバンドには、そのバンドなりの努力があって、苦労があって、この日を目指して、時間をかけて頑張っているんだ、ということは知っておいてもらいたいかな。

よくV系バンドの界隈で、「客・ファンのマナー」が問題になるけれど、きっとそういうバンドマンの裏の努力などを知らないのだろう、と思う。何も知らず、ただ「お客さん」として来ているだけ、というかなんというか。それでいいんだけど、音楽って、「売り手-買い手」という関係じゃないと思うんですよね。僕的には。。。(実際、そうなっている部分はあるにせよ)

音楽は文化であり、伝統であり、また人間の心や魂にとって欠かせないもの、だと思うんです。

でも、そこに「ビジネス」が入りこむと、文化も伝統もどこかにぶっとび、「収益」だけが問題となってしまいます。収益が問題となれば、「売上」が問題となり、また「売れるか/売れないか」が重要となります。ファンにとっても、「これだけお金を払っているのだから、見返りをしっかりちょうだいよね」、という話になる。音楽にビジネスが入り込むことは、バンドマンにとっても、お客さんにとっても、いいことではない(と思う一面もある)。

いずれにしても、「バンドをやるのって、本当に大変なんです」、ということです(苦笑)。

でもね、こういうことを全部含めて、バンド活動なんですよね。

「聴く側」も、こういうことを知っておくと、もっとライブが楽しくなる、かもしれません?!

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