Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

自動車産業と現代社会とその未来・・・

世界の不況が止まらない。

毎日発表されるリストラ・人員削減のニュース・・・
車、電子機器、大手百貨店・・・

日本の経済を支えてきた産業が
じわりじわりと脅かされているのを感じる。

自動車産業はいろんな下請け会社とのつながりで成り立っている。
幾千とある一つひとつのパーツから出来ているのが自動車だ。

自動車は、家同様、「総合商品」だ。
自動車産業の低迷は、あらゆるところで弊害を巻き起こす。
もちろん関連する会社は無数にある。

個々の部品を作る会社のみならず、
ガソリンスタンド、自動車修理、道路関連企業、
車内のアクセサリーを作る会社や電子機器メーカーetc。

自動車産業の低迷は日本の雇用バランスを崩してしまう。

それでも、売れ行き好調なのが、
ドイツの車なんだとか・・・

以下、引用。

ダイムラーは4日、2008年年間のメルセデスベンツ「AMG」ブランドの世界販売台数を公表した。それによると、総販売台数は2万4200台で、前年比19%増と好調だった。

市場別で見ると、AMG車が最も売れたのは米国で、全体の38%を占める。2番目はメルセデスの地元ドイツで13%のシェア。日本が8%でこれに続き、ベスト3に食い込んだ。

とくに2位のドイツは前年比34%増の伸び。しかし、新興国の販売増はさらに急激で、中国では前年比260%増、ブラジルでは565%増と驚異的な伸び率を示している。(・・・中略・・・)

ダイムラーはAMGの販売やメンテナンスを行う拠点として、「AMGパフォーマンスセンター」を拡大展開。2010年末までに世界15か国、合計175か所にオープンさせる計画だ。さらに、車両開発に関して、ダイムラーは「2010年以降のAMG車は、全エンジンの直噴化とアイドリングストップ機能の採用を行う」と宣言。2012年までに燃費を現行比で約30%向上させる方針を明らかにしている。

それにしても、BMWのMカーが前年比50%増、AMGが19%増とドイツ製ハイパフォーマンス車は世界中で人気。地球規模の不況の影響をまったく受けていないのが、凄いところだ。

引用元


この記事を読むと、自動車産業のすべてが低迷しているわけではない、
ということが分かる。

世の中から車がなくなるのではなく、
景気の低迷と共に、買う人の母集団が減った、
ということを意味するのだ。

車を買えるだけの人はまだまだいる。
お金持ちはいつの時代にもいるものだ。
彼らはいつでもいい車を買ってくれる。

ただ、すべての人が車を所有する、
という幻想は壊れたのではないか。
車は買うのにも、維持するのにもお金がかかる。
(アメリカでは、経済的余裕のない人にも車をローンを無理やり買わせて、
バブルがはじけている!)

***

僕は、
「僕を含め、庶民はできるだけ車を使わなくてもよい社会がいいのでは?」
と思っている。公共交通機関が充実した方が、
環境にもいいし、無駄な事故もなくなるし、安心した「移動」ができる。
(運転手はプロである。ゆえに、リスクも減る)
(また、運転手の雇用が増えて、雇用拡大になる)
(さらに、車に代わって、タクシーやバスや電車を作る会社が潤う)

車を買ってそれを維持するより、
公共交通機関やタクシーを使ったほうがリーズナブル、
という人はまだまだたくさんいる。
(地方だと車がなければやっていけないところもあるが、
そういうところには国が援助すればいいと思う・・・)

根本から考えれば、「移動」という人間の営みを今後どうすべきか、
という問題に行き着く。

それから、自動車産業を維持するのか、
それとも、脱自動車産業を目指し、別の産業に転向するのか、
日本の選択が迫られている。
(しかも、のんびり議論をしている暇はない)

朝日新聞の報道に、「第一次産業への回帰」の記事が掲載されていた。
水産業や林業や農業に職を転向する人が増えている、という。
(ただ、体力的・精神的に辛くて、辞めてしまう人が多いとのこと)

工場での仕事(つまり第二次産業)と第一次産業とでは、
産業の内容のみならず、働き手の労働条件や労働環境は全然異なる。
働き手の意識や考え方が変わらないと、うまく転向することはできない。
(第一次産業はとにかく体力がいるし、より経験的な智恵が求められる)

ピカートが厳しく批判したように、第二次産業は働き手の思考を停止させる。
第二次産業は、(とても大切な産業ではあるが)人間の体力を弱める。
と同時に、「大量生産」、「大量消費」でないととたんに厳しくなる。

こんな時代だからこそ、「哲学」が必要なんじゃないかなと思う。
「現代社会とは何か」ということを厳しく問い、
「現代社会とは何だったのか」ということを根源から反省し、
次世代のキーワードや概念を生み出していく作業がどうしても必要ではないか。

産業構造の最も深いところに「人間と生」の問題が潜んでいる。
現代社会以降に最もふさわしい労働のあり方もやはり、
「人間と生」の問題を抜きにして考えることはできないだろう。

ドイツの車の売れ行きが好調なのは喜ばしいことだが、
自動車産業に頼ることはもはやこれ以上できないのではないか?
特に日本では、狭い土地にものすごい量の車が走っている。
アメリカに頼ることももはやできなくなっているし、
またたとえ再びアメリカの景気がよくなったとしても、
それにいちいち左右されていては、日本の働き手が辛すぎる。

国際社会も素晴らしいけど、
ますは日本国内の経済状況を(長期的に)安定させなければ、
持続可能な日本という社会は構築できないだろう。

日本人が、
日本の働き手が(世界の景気にあまり左右されずに)、
長期的に持続して働いていけるような産業構造は、
いったいどのような産業構造なのだろうか?!

自動車産業に頼らずに、皆が働ける産業構造って
いったいどのようなものなのだろうか。
これはもっと大いに議論すべき問題ではないだろうか?!

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