散歩絵 : spazierbilder

記憶箱の中身

水の形

2016-01-23 08:30:54 | 自然観察
2016年1月19日

この冬は暖冬で凍てつく日が少ない。
久しぶりにちらついた雪もあっという間に溶けてしまった。
凍った水の模様を探しに出た。
アスファルトの道には羽根の様な形に模様が現れ、落ち葉や草が氷の中に、まるで寒天寄せのかなにかの菓子の様で、美味しそうに見えた。
枯れ草の茎を芯にして面白い形に薄く白い氷が張っていて、軽く足を乗せると崩れ、パリンパリンと良い音がする。
その音がもっと聞きたくて、数歩踏みしだいたけれども、美しい絵を壊している様で忍びなく引き返す。
このパリンパリンという音を聞きながら思い出したものがある。
子供の頃家の近所に飴細工のおじさんを何度か見かけたことがあった。
自転車の後ろの箱の中に飴やら道具やらを詰めていて、棒の先に絡めとられた飴はちょきちょき切られたりひっぱられたりしながら、あっという間に鳥や動物になってゆく。筆でササッと色が入るとセロファンの袋が被せられて、動物達は買われるのを待っている。私はそのハサミ使いや筆使いに見惚れて立ち尽くした。
ストローを使って飴に息を吹き込み膨らませて可愛らしい小鳥も現れる。その小鳥はの肌は薄く薄く筆で描かれた羽根と顔が愛らしく、買ってもらった記憶があるが、持って遊んでいるうちに間もなくパリンと音を立てて粉々に壊れて蟻の餌となった。
美しい飴細工であったが、大人たちは「食べてはいけません、きれいじゃないのだから」と言った。割り箸も使い回しだったかもしれない、膨らんだ鳥のお腹の中はおじさんの息が閉じ込められている。そんな事から大人たちは不衛生だという理由で食べてはいけないといったのだろう。
その辺りでは商売にならなかったのだろうか、その後飴細工のおじさんを見かけることはなかった。
薄い氷が足の下でたてる音は、あの飴細工がこわれたときの音と、その時の残念な気持ちを蘇らせた。






























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