昨日(6月23日)日経平均株価は381円23銭上昇して、20,809円で引けた。今年の最高値更新である。2000年4月に付けたITバブル時の高値20,833円の更新も視界に入った。昨日の株高の要因をマスコミはギリシア危機に解決の目処が見えてきたことを上げているが、株主総会ピーク時の株価上昇は、日本企業のコーポレートガバナンス改善と企業の増収増益に対する投資家の信頼が高まっていることの表れではないか?と私は考えている。現在の株価水準はバリュエーションから見るとそれ程割高ではないので、私は株価に上昇余地はあると判断している。大きな外部環境の悪化がないという前提の上の話だが。
だが、日本企業が更に伸びるためには、コーポレートガバナンスの改善に加えて、働く人達の価値観が変わることが必要だと私は考えている。どのように変わることが必要か?というと「仕事は楽しく遊びは真剣に」という方向の変わる必要があると私は考えている。
「仕事は楽しく遊びは真剣に」という言葉は、今年の春青森の八甲田山に春スキーに行った時、ご一緒した設計工房フレックスの畑中社長のモットー(HPに書いている)だが、良い言葉なので使わせて貰うことにした。
CNBCのChinese workers chill as Japan's workers stressという記事の中で、世界最大手クラスの総合人材会社のランスタッド社は「余暇では仕事からスイッチオフすることが、生産性を改善し、従業員のモラールを高める」と述べている。
記事の表題は「中国人の従業員は落ち着いていて、日本人の従業員はストレを感じている」という意味だ。Chillは「寒さ・冷気」という意味だが、俗語では「落ち着いた」とまったく違った意味になる。
ランスタッド社の調査によると、日本人の44%は休日でも仕事のことが頭から離れない。この比率は近隣諸国ではマレーシア36%、シンガポール32%が高く、オーストラリア24%、香港19%ではかなり低くなっている。でも一番低い、つまり仕事を離れるとリラックスしているのが中国人で、中国人は15%しか仕事を離れると仕事のことを考えないという。
休みの間も仕事をスイッチオフできるかできないかは、雇用構造と大きく関係する。日本の正社員は長期雇用を前提としているので、通常の勤務時間が過ぎても会社に残っている傾向が強く、必要があれば、休日出勤すら厭わないと考える傾向がある。
一方労働市場の流動性が高い中国では、仕事は仕事、遊びは遊びと割り切る傾向が強く、職場を離れると仕事のストレスを感じることは少ないとランスタッド社は分析している。
無論このような分析はモノゴトの一面しか見ていない可能性はある。つまり日本の正社員群は、日頃はオンオフに関わらず仕事のストレスを感じる傾向が強いが、雇用という面ではストレスを強く意識しないだろう。一方中国の従業員は日頃は仕事を離れると仕事のストレスを感じることは少ないだろうが、雇用という面ではストレスを感じるのではないだろうか?
また「自分の自由な時間における仕事からのスイッチオフが生産性とモラールを高める」ことは間違いないが、日本の従業員と中国の従業員を平均で見て、後者の方が高いということはできないと私は考えている。
とはいうものの、日本の会社ももっと仕事のスイッチオフを考える必要があることは確かだ。そのためには従業員の会社に対する貢献を勤務時間や拘束時間の長さで評価するのではなく、成果で評価する人事体系が先行する必要があることは間違いない。