昨日政治資金報告の虚偽記入で民主党の小沢元代表が起訴された。時同じくしてエジプトではムバラク大統領の退陣を求める反体制派の抗議デモが活発になっている。二つの出来事の間に関係はない。だが一つの共通点はある。それは説明責任を欠く権力者に対する一般市民の強い反発だ。
検察官は証拠不十分で勝訴の見込みがないということで小沢元代表の起訴を見送っていたが、一般市民で構成された検察審査会が起訴決議を行なったので、強制起訴に至った訳だ。
一般市民感覚から言えば「4億円もの借入を本人が関知しないところで行なう」ということは信じられないし、仮にそうだとしても管理監督者としての説明責任を果たすべきだということだろう。
政治資金疑惑について小沢元代表がウソをついているかどうか分からないが、彼が明らかにウソをついていることが最低でも一つある。それは09年の総選挙のマニフェストで十分な財源もないのにあたかも予算見直しで捻出できるかのような幻想を一般市民に与え「子ども手当」や「高速道路無料化」で票を集めたことだ。
長年政治のプロである小沢元代表が国の財政状態を知らないはずがない(もし知らないとすれば政治家として失格である)ので、彼は故意にウソをついていたということになる。
一般市民は権力という塹壕にしがみつく政治家を嫌悪する。数千キロもはなれた日本とエジプトで起きていることは、全く関係のないように見えて、その底流には権力に固執する古いタイプの政治家に対する市民の強い反感があると思われる。