金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

S&P500が200日移動平均線を下回ったが・・・

2018年10月12日 | 投資

昨日(10月11日)の米国株は2日続きで大きく値を下げた。ダウは朝方発表された消費者物価の上昇率が市場予想より低く、インフレはコントロール可能という判断から上昇したが、その後原油価格の下落に伴いエネルギー株が大きく値を下げた。

ダウとS&P500の下落率はともに2.1%だった。私は一昨日の大幅下落は売られ過ぎではないか?と見ていたので昨日は反発するのではないか?と見ていたが結局2日続けての大幅下落となった。

ただし市場に大きな狼狽があるかというとそうでもないように思われる。先月の株価上昇ピッチが急だったので、誰しも速度調整はあると予想していたからである。また10月はじめは株高を支えてきた企業の自社株買いが四半期決算のため一時的にストップし、相場の下支えがなくなると一部のプロは予想していた。確証はないけれど自社株買いのない時期を狙って売りが仕掛けられた可能性はあるかもしれない。

さてこの先株価はどう動くだろうか?

弱気の材料としてはS&P500の株価が200日移動平均線を下回ったことがあげられる。200日移動平均線は多くの投資家が注目している抵抗線で今年2月以降に起きた株価急落時でも200日移動平均線を割り込むことはなかった。

気の早い人は足元の株価が200日移動平均線を割り込んだことから、トレンドに変化が起きるのではないか?と考え始めているようだ。

もう一つ気になることは、米中の貿易摩擦が貿易の枠を越えて、政治的摩擦の様相を強めてきたことだ。これまで株価は米中の貿易交渉の行方にスイングを繰り返してきたが、米中交渉の着地点はより予想しにくくなってきたと思われる。

強気の材料は米国経済は依然として堅調で企業業績も好調なことだ。FactSetによるとS&P500の第3四半期の決算は19%の増益が見込まれるそうだ。

経済は堅調だが、長い間の低金利に慣れた米国人は住宅ローン金利が上昇しているので住宅取得を手控える動きが目についてきた。既存住宅販売件数は6ヶ月連続で前年実績を下回っている。

直近の30年固定金利ローンの金利は4.9%ということ。日本の住宅ローンに比べると目がくらむような高金利だが、歴史的に見ると米国の住宅ローン金利は5%~7%程度なので特に高い水準ではない。ただしばらくの間消費者が低金利に慣れていたので5%近い金利を見ると買い控えが起きているということだろう。

中央銀行がターゲットとするインフレ率に市場が追いつくことを正常化と呼ぶとすれば、正常化には色々な痛みや摩擦が発生する。今回の株価急落もその一つだろう。

などと私は悠長なことを言っているが、それは基本的には株価は200日移動平均線を割っても反発してくると見ているからである。そういう意味ではこれから数日の株価の動きには注目していきたいと思う。

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