金融そして時々山

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使えない野村證券に資産管理アプリOneStock

2020年07月01日 | ライフプランニングファイル

昨日の日経新聞には生保や証券会社がスマートフォンを利用した資産管理アプリをスタートさせたと記事が出ていた。

試しに野村證券がマネーフォワードと開発したOneStockという資産管理アプリを使ってみた。OneStockは現在のところiPhoneでしか使うことができない。OneStockのうたい文句は「資産寿命の可視化」である。

試したところ(試したのは無料版)の感想をいうと「資産寿命の計算についはまったくのお遊びの域をでない子供だましである」ということだ。

年金受給者の資産寿命の計算とは概ね次のようなもののはずだ。

簡便な方法

保有資産÷年間赤字額(公的年金+企業年金+その他収入ー経常的支出ー臨時的支出)=資産寿命

これらの内比較的確定しているものは年金と現在保有資産である。もっとも保有資産が有価証券である場合は相場変動に伴い時価は刻々と変動する。

経常的支出(食費・住居費・衣料費・衣料費・教養娯楽費・税金および社会保険料など)は比較的安定しているが、税金と社会保険料は増加傾向にあることと医療費は年齢とともに増加することに留意する必要がある。

臨時的支出は自宅改修費や耐久消費財(車や大型家電の買い替え)であり、年毎に変動する。減価償却の考え方で適切な費用を計上する必要がある。これは現金支出を伴わない支出を計算に入れるということだ。

これは簡便な方法なのだが、資産管理アプリでは入力項目が限られているので、概算的な資産寿命を把握することもおぼつかない。真面目に資産寿命を計算しようと思うとかなり真面目に長期のライフプランを設計する必要があるのだ。

ライフプランを伴わない資産寿命の計算は机上の空論である。

結局のところOneStockは客寄せアプリに過ぎないということだ。

OneStockには平均と較べて収入や支出あるいは資産保有高が多いの少ないのという比較ができる機能があるが、あまり意味のない話である。我々は平均を目指して生きているのではなく、自分のスタイルに叶う生き方を目指して生きているからだ。

資産運用について一つの例外を除いて王道はない。

一つの例外というのは「運用コストをセーブする」ということだ。投資信託やラップ勘定で証券会社や銀行に払う信託報酬を極力抑えることに尽きるといってよいだろう。

投資家はリターンという不確実なものを得るために信託報酬という確実なコストを支払っている。

無料版の資産管理アプリの制作・運用コストも結局のところ顧客が負担しているのである。余計なものを作らずに委託手数料の引き下げに努めてほしいというのが、一顧客の本音である。

 

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