金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

過去2年で最悪の四半期が終わった

2022年04月01日 | 投資
 昨日終わった今年(2022年)の第1四半期の米国株式のパフォーマンスは過去2年間で最悪だった。悪いパフォーマンスを更に悪くしたのは最終日の昨日のパフォーマンスで、S&P500、ダウ、ナスダック揃ってマイナス1.5%超となった。
 この結果第1四半期を通しての成績は、S&P500が4.9%マイナス、ダウが4.6%マイナス、ナスダックは9.1%のマイナスとなった。もっとも我々のように日本から円を投入して米国株を購入した投資家は急速な円安ドル高でポートフォリオの時価が増加しているので、株価低迷の影響は体感しないが・・・・
 資産価値が低迷したのは株式だけではない。債券も四半期ベースではマイナス6%と1980年以降で最大級のロスをだした(ブルンバーグボンドインデックスベースの話)。
一方値上がりしたものは小麦などのコモディティ価格だった。これはロシアのウクライナ侵入の影響だ。コモディティ価格の上昇やサプライチェーンの混乱はインフレを加速させる。この四半期の物価上昇率は過去40年間で最高のペースになり、米連銀は政策金利の引き上げ加速でインフレ押さえ込みに取り組もうとしている。
 2年前のコロナ感染拡大時も最初は株価の急落で始まったが、その後の財政・金融政策で株価は急回復した。
 2年前に較べて現在の状況ははるかに見通しが悪い。ロシア・ウクライナ間の和平交渉の先行きは見えないし、中国ではコロナウイルス感染が拡大し、サプライチェーンの綻びが気になるところだ。
 このため株式、債券、コモディティなどほぼすべてのものの値動きが激しくなっている。つまりボラティリティが高まっているのだ。
 賢い投資家は、株や債券のリターンだけをみて投資しているのではない。
 投資をすることで取るリスクに較べてリターンが高いかどうかを判断して投資するかどうかを決めているのだ。
 その代表的な指標がシャープレシオ(トータルリターンから安全資産利子率を引き、標準偏差で割って算出)だ。つまり安全資産利子率が上昇したり、価格変動の標準偏差が上昇すると、トータルリターンが変わらなくてもシャープレシオは下がる。つまりボラティリティが高まると投資の物差しであるシャープレシオは低下するのだ。
 すべての投資家が理論通り動く訳ではないが、不確実性の高止まりが投資家の疑心暗鬼を生み、疑心暗鬼は色々なものの価格の激しい値動きにつながり、価格の激しい動きは投資家のリスクテイク意欲を減少させる。
 こう考えてくると最悪の四半期が終わったが、底を打った訳ではなく、これからしばらくボラティリティの高い相場が続くと考えた方が良いだろう。
 一方現在の相場を支えているのは、押し目買いをする投資家達だ。
 リスク回避をする投資家と優良銘柄が大きく値を下げた時を絶好の買い場として押し目買いをする投資家の綱引きがしばらく続くのだろう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サイドカントリー、ご存知で... | トップ | 鎌倉巡りの準備はマイマップ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

投資」カテゴリの最新記事