行動経済学と聞くと大変難しい学問と思う人がいるかもしれませんが、ちょっとかじってみると中々興味深い学問だということが分かります。
例えば「資産を有価証券に運用する人が二人いて、最近1か月間の資産増減に関する報告を受けたとする。Aは資産が4000万円から3000万円に減ったとBは1000万円から1100万円に増えたと伝えられた。この時どちらが幸せだろうか?」といったことを考えるのが行動経済学です。
伝統的な経済学の考え方では絶対的な資産の水準が効用を担うと考えるのでAの方が幸せだと考えますが、多くの人はBの方が幸せだと考えると行動経済学者は考えます。
また同じ金額の得と損であれば、損の方が大きく感じられるという研究もあります。ノーベル賞を受賞した行動経済学者のダニエル・カーネマン博士は損失の痛みは2倍から2.5倍大きいと計測しています。
このような人間の特性が相続問題を複雑にしているのです。その代表的なものは「保有効果」です。「保有効果」というのは、人が自分の持っているものを市場価値よりも高く評価する傾向を指します。人が現在持っている権利や経済状態を手放しても良いと考える対価は、それを持っていない場合入手するために支払って良いと考える対価より常に大きくなる傾向があります。だから不動産の遺産分割などが難しくなるのです。
一般社団法人 日本相続学会は行動経済学者の川西 諭先生(上智大学経済学部教授)をメインスピーカーにお招きして研究大会でこの問題を掘り下げることにしました。
【研究大会のスケジュール】
日時 2016年11月18日(金曜日)午前9時~午後5時
場所 中央大学駿河台記念館 (御茶ノ水駅)
オープン参加ですので、お席があればどなたでも参加いただけます。
お申込みは一般社団法人 日本相続学会HPからお願いします。
→ http://souzoku-gakkai.jp/