金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

行動経済学を理解すると相続問題の半分は解決する

2016年09月13日 | 相続

行動経済学と聞くと大変難しい学問と思う人がいるかもしれませんが、ちょっとかじってみると中々興味深い学問だということが分かります。

例えば「資産を有価証券に運用する人が二人いて、最近1か月間の資産増減に関する報告を受けたとする。Aは資産が4000万円から3000万円に減ったとBは1000万円から1100万円に増えたと伝えられた。この時どちらが幸せだろうか?」といったことを考えるのが行動経済学です。

伝統的な経済学の考え方では絶対的な資産の水準が効用を担うと考えるのでAの方が幸せだと考えますが、多くの人はBの方が幸せだと考えると行動経済学者は考えます。

また同じ金額の得と損であれば、損の方が大きく感じられるという研究もあります。ノーベル賞を受賞した行動経済学者のダニエル・カーネマン博士は損失の痛みは2倍から2.5倍大きいと計測しています。

このような人間の特性が相続問題を複雑にしているのです。その代表的なものは「保有効果」です。「保有効果」というのは、人が自分の持っているものを市場価値よりも高く評価する傾向を指します。人が現在持っている権利や経済状態を手放しても良いと考える対価は、それを持っていない場合入手するために支払って良いと考える対価より常に大きくなる傾向があります。だから不動産の遺産分割などが難しくなるのです。

一般社団法人 日本相続学会は行動経済学者の川西 諭先生(上智大学経済学部教授)をメインスピーカーにお招きして研究大会でこの問題を掘り下げることにしました。

【研究大会のスケジュール】

日時 2016年11月18日(金曜日)午前9時~午後5時 

場所 中央大学駿河台記念館 (御茶ノ水駅)

オープン参加ですので、お席があればどなたでも参加いただけます。

お申込みは一般社団法人 日本相続学会HPからお願いします。

→ http://souzoku-gakkai.jp/

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Blackout前のブレイナード発言で米株はリバウンド

2016年09月13日 | 金融

先週金曜日(9月9日)には、ボストン連銀総裁のタカ派的発言などで大きく値を下げた米国株。昨日はその余波を受けてアジア・欧州株も大きく値を下げていたが、昨日の米国株は大幅反発した。

ダウは239.62ポイント(1.32%)上昇。金曜日の下げの6割程度は取り戻した形だ。

市場に大きな影響を与えたのは連銀のブレイナード理事の連銀は金利引き上げを急ぐ必要はないという発言だった。このハト派的発言で市場は9月利上げの可能性は遠のいたとして、株買い・ドル売りに向かった。

金利先物市場から割り出した9月利上げの可能性は金曜日の24%から15%に低下した。

9月21-22日FOMCを前にして、連銀高官は今日からBlackout期間に入る。このBlackoutとは報道管制の意味で、連銀高官は金利見通し等に関する発言を行わないことになっている。

ところで共和党の大統領候補のトランプ氏が「連銀のイエレン議長は低金利政策を持続することでオバマ政権を支援している」と発言していることが、ちょっと物議をかもしている。

その理由は大統領候補が連銀議長を批判することは異例な上、トランプ氏の金融政策に関する一貫性が欠如しているからだ。トランプ氏は今年の初め「政策金利を引き上げると経済に大きなマイナスとなる」と述べていたが、ここにきて政策金利を引き上げろ、といっているからだ。

Blackoutには「停電」「暗転」という意味もある。大統領選挙については、9.11式典を脱水症状で中途退席したクリントン候補の健康問題も焦点となってきた。クリントン候補は肺炎にかかっていたことを明らかにした。肺炎自体は感染症だが、糖尿病・肝硬変等などの慢性病があると感染する可能性が高くなるので、クリントン候補の健康状態が争点となる可能性がある。

私は金融政策面ではクリントン候補の方がトランプ候補より良いと思っているが、大統領選挙の行方はますます不透明になってきた。

そしてトランプ候補が勝利するようなことがあれば、相当なBlackoutが起きる可能性があるかもしれない。

昨日はリバウンドした米国株だがこの先どちらに向かうかは分からない、というべきだろう。市場は9月のFOMCを注目し、それが終わるといよいよ大統領選挙が大きなリスクとなってくる。

 

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