電子本の出版について少し具体的に話を進めよう。
電子出版までの手順は次のとおりだ。
(1)KDP(Kibdle Direct Publishing)にアカウントを登録する(必須)
(2)ロイヤリティの受取口座を登録する(ほぼ必須)
(3)米国源泉税免除手続きを行う (任意)
(4)本文を用意する (必須)
(5)目次を作る(ほぼ必須)
(6)表紙を作る(ほぼ必須)
(7)(4)~(6)で作った原稿をKDPにアップロードする(必須)
(8)本の名前・著者・内容等をKDPに登録する(必須)
(9)本の価格を決める(必須)
(10)ロイヤリティ(35%か70%)を選択する(必須)
(11)アマゾンが出版を承認する(必須)
「お客様の本がKindleストアでオンラインになった」という電子メールがはいる。
これで誰でもこの本をKindleストアで買うことができるようになった。
(12)ブログ等で本を宣伝する(任意)
(13)ロイヤリティの受取をしばらく見合わせる(任意)
以上が作業の流れだが、幾つかのことは同時並行的にまたは順序を逆転させて行えば良い。
言うまでもないことだが、一番大切なことは「何を書くか」つまり(4)の本文である。私の二つの電子本は今まで過去に書いたブログを取りまとめたものだ。私が書いている標準的なブログで大体電子本1ページ~1ページ半である。つまりブログ100~120程度で150ページ程度になる。手元の新書本(紙)を見ると170~180ページのものが多いから150ページ程度の本にすると一応ボリュームの上では「本らしく」なるだろう。ちなみに最初の電子本「英語の慣用表現集」の文字数は約7万文字だった。
もし最初から本を作成するとなるとこれだけの原稿を用意することになる。本の内容や書く速度によって異なるが、ある程度の準備期間は必要だ。
だが「電子本を出版しよう」と決めたなら、(1)~(3)の手続きは早めに開始した方が良い。理由は「米国源泉税免除申請に時間がかかる」からだ。米国に居住していない我々でも米国企業(アマゾン)から所得を得ると30%の源泉税が課税される。ただし日米租税条約により著作権使用料については原則減免されるがそのためには免除申請をする必要があり、それに時間がかかるためだ。
実は私は今申請途中で米国IRS(内国歳入庁)から納税者番号が送られてくるのを待っているところだ。
次に(2)の「ロイヤリティの受取口座を登録する」も、場合によっては多少時間がかかる。今使っている銀行口座を登録するだけであればすぐ済むのだが、送金手数料を安くしようとすると被仕向送金手数料の安い銀行に口座を開く必要があるからだ。米国に支店を持つメガバンクでも1回のロイヤリティ受取で「被仕向送金手数料」1,500円「円為替取扱手数料」2,500円(最低)合計4,000円の手数料がかかる。
三菱東京UFJの例 http://www.bk.mufg.jp/tesuuryou/gaitame.html
ものの本によると、国内の銀行では新生銀行とシティバンク銀行は被仕向手数料が無料だそうだ。私は今のところ三井住友銀行を受取口座にしているが、上記どちらかの銀行に口座を開設することも検討しいる。なお米国に支店を持たない地銀の場合はさらに1,500円の取次手数料がかかるから要注意だ。
なお「送金手数料」を抑える方法としては、送金回数を減らすという方法がある。それが(13)の「ロイヤリティの受取をしばらく見合わせる」だ。私は今「受取をしばらく見合わせる」ことにしている。その具体的な方法については出版予定の「電子本」などで説明していきたい。
いずれにせよ「電子本を出版する」というのは、小規模とはいえ海外からの被仕向送金などを含む色々な事務が伴う。それを煩わしいと考えるか、新しいことへのチャレンジと考えるかで取組姿勢が変わってくるだろう。
受け取る印税など多くても少なくても気にしない、面倒くさいことはやりたくない、とにかく本が出版できれば良いというのであれば、これらの手続きは省略することができる。だがコストをセーブしようと思うと多少の手間はかかるのである。