今日(5月23日)の日経金融新聞を見ているとインド企業の預託証券市場を日本に作ろうという動きがあるという記事があった。預託証券市場ができるとインド企業への投資が増え、東証のアクティビティも増すという狙いだ。
私はこれを少し先取りして米国預託証券市場(ADR)でインド企業投資を行っているがパフォーマンスは今のところ良くない。投資先はInfosys、インド第2位のシステム会社で業績も良い。投資時期は今年2月と高値圏だったので良くなかったが、同時期に購入したインド株投信(PCAインド株オープン、三井住友銀行で購入)は8%以上値上がりしているので、個別銘柄(またはセクター)選択が今のところ良くなかったということだ。良い企業が必ずしも良い投資先とは限らないからだ。弱小個人投資家にとってADR投資の一つの問題は、1銘柄の投資に数十万円から百万円位かかることである。これではインド一国を相手に分散の効いたポートフォリオを組むには資金が足りない。弱小投資家がインドに投資するには、投資信託経由の方が賢明だろう。ということで日本にインド株の預託券市場ができても、投資単位が大きい場合に個人投資家がどっとくるかどうかはちょっと疑問だ。
一方インドにはマクロベースで見てポジティブなニュースがある。一例だがヒューレット・パッカード、シスコ、ノキア、ソニーといった大手電子機器メーカーがアウトソースの比率を高め、インドがアウトソースを受ける割合が増えるということだ。
ファイナンシャルタイムズはテクノロジー・フォーキャスター社の予想を紹介しているが、それによると2010年までに世界の電子機器メーカーの生産量の4分の1以上は低賃金国にアウトソースされる。中国は過去10年間もっとも重要なアウトソース先で2010年のシェアは46%になると予想されるが、シェアは2年前の48%から減少する。
この分インドがアウトソースを受けるシェアが高まるが、その理由の一部はインドにおいて電子機器の販売が増加するからである。ある予想ではインドでの電子機器の生産は2005年の50億ドルから2010年の388億ドルに増加する。
これは一例だがインドの世界経済に占める比重はどんどん高まるだろう。そのメリットの一部を分けてもらう方法としては投資信託を使うのが無難な様だ。
しかしである。個別株(ADRを含めて)投資には烈風吹きすさぶ冬の北アルプスの尾根を歩く様な緊張感があり、捨て難いことも事実なのだ。大怪我をしない程度に楽しみたいものである。冬の烈風が頭の芯をさわやかにしてくれる様に外国企業を勉強すると多少は血の巡りが改善する様な気がする。