金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

インド投資、一進一退

2007年05月23日 | 株式

今日(5月23日)の日経金融新聞を見ているとインド企業の預託証券市場を日本に作ろうという動きがあるという記事があった。預託証券市場ができるとインド企業への投資が増え、東証のアクティビティも増すという狙いだ。

私はこれを少し先取りして米国預託証券市場(ADR)でインド企業投資を行っているがパフォーマンスは今のところ良くない。投資先はInfosys、インド第2位のシステム会社で業績も良い。投資時期は今年2月と高値圏だったので良くなかったが、同時期に購入したインド株投信(PCAインド株オープン、三井住友銀行で購入)は8%以上値上がりしているので、個別銘柄(またはセクター)選択が今のところ良くなかったということだ。良い企業が必ずしも良い投資先とは限らないからだ。弱小個人投資家にとってADR投資の一つの問題は、1銘柄の投資に数十万円から百万円位かかることである。これではインド一国を相手に分散の効いたポートフォリオを組むには資金が足りない。弱小投資家がインドに投資するには、投資信託経由の方が賢明だろう。ということで日本にインド株の預託券市場ができても、投資単位が大きい場合に個人投資家がどっとくるかどうかはちょっと疑問だ。

一方インドにはマクロベースで見てポジティブなニュースがある。一例だがヒューレット・パッカード、シスコ、ノキア、ソニーといった大手電子機器メーカーがアウトソースの比率を高め、インドがアウトソースを受ける割合が増えるということだ。

ファイナンシャルタイムズはテクノロジー・フォーキャスター社の予想を紹介しているが、それによると2010年までに世界の電子機器メーカーの生産量の4分の1以上は低賃金国にアウトソースされる。中国は過去10年間もっとも重要なアウトソース先で2010年のシェアは46%になると予想されるが、シェアは2年前の48%から減少する。

この分インドがアウトソースを受けるシェアが高まるが、その理由の一部はインドにおいて電子機器の販売が増加するからである。ある予想ではインドでの電子機器の生産は2005年の50億ドルから2010年の388億ドルに増加する。

これは一例だがインドの世界経済に占める比重はどんどん高まるだろう。そのメリットの一部を分けてもらう方法としては投資信託を使うのが無難な様だ。

しかしである。個別株(ADRを含めて)投資には烈風吹きすさぶ冬の北アルプスの尾根を歩く様な緊張感があり、捨て難いことも事実なのだ。大怪我をしない程度に楽しみたいものである。冬の烈風が頭の芯をさわやかにしてくれる様に外国企業を勉強すると多少は血の巡りが改善する様な気がする。

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余り教えたくない日本橋たまゐの穴子

2007年05月23日 | レストラン・飲み屋

ブログに気に入ったお店のことを書くことがあるが、本当に美味しくて安い店のことは書くべきかどうか迷わないこともない。「僕のブログを読んでお客さんが増えると入れなくなってしまう・・」という理由で。まあ、これはほとんど冗談。それ程ブログの読者が多いとうれしいのだが。

さて今日の昼、日本橋たまゐの室町店にいった。日本橋たまゐには日本橋本店もあるのでややこしいが、たまゐの前の日本橋は商標の一部である。

前から一度入ってみたい店だったが、入り口の品書きを見るとランチには少し高いので敬遠していた。ところが少し前から「30食限定 千円ランチ」というのをやりだしたので、今日トライした次第だ。なおたまゐのホームページはこちらだがhttp://anago-tamai.com/oshinagaki.html ホームページには千円ランチは載っていない。

さて千円ランチだが、穴子どんぶりに穴子の刺身が付いていた。穴子の刺身は初めて食べるが、白身でコリコリして歯ごたえがあった。ウエイトレスさんによると今頃から梅雨時にかけて刺身は食べ頃ということだ。どんぶりにかけるワサビやゴマ、ねぎなどもしっかりしていて千円でも手抜きがないので好感した。お店のパンフレットによると「あなごの脂肪含有量はうなぎの約半分」でうなぎに比べて低カロリー、高タンパク質だそうだ。

ということでランチにお勧めなのだが問題は限定30食である。ブログに書いてお客さんが増えて僕が行く時売り切れでは悲しいが、良い話なので思い切って公開してみた。

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CFAの数から見る次の金融の世界

2007年05月23日 | 金融

CFA(Chartered Financial Analyst)、日本ではCFA協会認定証券アナリストと呼ばれる米国の証券アナリストの試験が6月に実施される。これに関してファイナンシャルタイムズ(FT)に「アジアの受験生が米国の受験生の数を上回る」という記事が出ていた。ポイントは次のとおりだ。

  • 西洋の金融リテラシーのベンチマークであるCFAの受験生の数でアジアが北米を上回ったことはアジアのグローバル市場における影響力の成長の新たな参るストーンになるだろう。
  • 今年のCFAの全受験生数は約14万人だ。アジアからの受験生は52,900名で米国の受験生45,400名を上回る。中国とインドの受験生の数は英国やカナダの受験生の数を上回る。
  • 10年前はアジアではCFAの受験生はほとんどいなかった。アジアにおけるCFA受験者の著しい増加は新しい世代のプロフェッショナル達が西洋スタイルの金融と市場投資理論を受け入れる度合いを示唆している。
  • またこれは資本市場でのスキルが全世界に広がっていることを示唆している。アジア人でCFAの資格を持つ人間が増えると、欧米の資産運用会社や投資銀行の従業員の民族構成も変わるだろう。

以上が記事の概要だが少し補足しよう。CFA試験は1953年に米国で創設された。CFAの試験レベルⅠ、Ⅱ、Ⅲの3段階があり、各試験の準備に250時間から300時間を要する。CFAの資格を得るには試験にパスした上4年間の実務経験が必要だ。この試験は当初はアナリストが受験していたが、今ではファンドマネージャーやトレーダーの間でも人気が高まっている。

試験や受験勉強の教材はすべて英語だ。伝統的な合格率は約5割である。日本人でCFAの資格を保有する人は1千名程度である。

FTは最後にインドのムンバイ出身で現在アメリカのバルティモアの資産運用会社会社に働いているVyas氏の言葉を引用している。「CFAは今や世界のあらゆる新興市場国の金融サービス業で働く者のパスポートである

この事実が意味することを考えてみよう。今東京は証券市場としてニューヨークに次ぐ時価総額規模を有しているが、香港やシンガポールあるいは上海の激しい追い上げを受けている。また東京の国際金融センターとしてのステータスを改善しようと色々な試みが提案されている。山本金融相が米国商工会議所でスピーチした「丸の内・日本橋の金融特区構想」などである。

しかし大事なことは箱を作ってもそこで働く人がいないとどうにもならない。中国人やインド人のCFA受験生が伝統的な合格率をキープするかどうか不明だが、短期間にこの両国に(あるいは両民族に)日本の何十倍というCFAが誕生しそうだ。

東京に立派なビルを建て外資系の資産運用会社や証券会社を呼び込んでも、そこで高い給料を貰って働いているのは、CFAの資格を持つインド人や中国人で日本人はミドル・バックで安い給料に甘んじているということにもなりかねない。

あるいは人材不足からアジアの金融センターが東京以外に移るかもしれない。もし政府がまじめに金融センターを考えるなら真っ先に考える問題は人の問題なのだろう。

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