金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

割安投資のプロの腕を拝見しますか?

2007年05月31日 | 株式

ファイナンシャルタイムズ(FT)によると、海外の割安株ファンドが日本の落ちぶれたサラ金株を購入しているということだ。落ちぶれたの原語はDown-in-outだが、これはノックアウトされたボクサーという意味もあるので相当激しく弱っているという意味だ。では海外のファンドはどの様な成算があって弱りきったサラ金株を買っているのだろうか?

以前からリップルウッドやサーベラスなど外国のファンドが大胆不敵に日本の破綻した金融機関や会社に投資して大儲けをしたことは周知のとおりだ。

今回サラ金に投資しているのは、投資経験豊かな米国のファンド、ブランデスBrandesなどだ。Brandesはヴァリューつまり割安株ファンドとして著名で米国のみならず海外の割安銘柄もピックアップしている。例えば日本では小野薬品の株を買い一株7百円の配当要求を出している。

Brandesのホームページを見ると、Compelling bargains are often overlooked in equity market, this is our mission to take a advantage of these bargains.という創業者ブランデスの言葉が出ていた。

訳すると「説得力があり納得がいく割安銘柄が株式市場ではしばしば見過ごされている。これらの割安銘柄を利用するのが我々の使命である。」というところだろう。

このブランデスが武富士株の8.7%、アコム株の5%を購入している。またトレードウインドとCundillがアコム株をそれぞれ9%、3%購入している。これらもヴァリューファンドだ。

サラ金の上限金利引下げ問題がでる前にGEやシティが日本のサラ金への投資や融資で大儲けしたことは周知のことだ。しかし今回はその時と事情は違い、サラ金業界には強烈な逆風が吹いている。その中での株式購入だ。ブランデスなどのファンドはサラ金株を売られ過ぎと判断したのだろうか?

彼等の洞察力を信ずるならばチョウチンをつけるのも一手かも知れない。サラ金はさておき小野薬品などは面白いかもしれない。

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人生相談を読む楽しみ

2007年05月31日 | うんちく・小ネタ

私にはちょっとした楽しみがある。それは朝食を取りながら新聞の人生相談欄を読むことである。ワイフは「朝忙しい、忙しいと言いながら経済欄でなくて人生相談なんか読んでいるのね」と笑うが人生相談欄は面白い。

何故人生相談欄が面白いのか突っ込んで考えたことはないが、一つは「他人の不幸は蜜の味」という面がないでもない。少なくとも世の中にこんなに悩んでいる人もいるのだからこの程度のことでクヨクヨするのは止めようという位の元気付けにはなる。

もう一つ理由があるとすれば、親からの遺伝ではないだろうか?私の父は僧侶のかたわら易など占いと人生相談を行っている。先日京都に帰った時親父が「累計2万人位の人を占ってきたが最近本当に良く見ることが出来るようになった」と言っていた。私は占いの類を全面的に信用する訳ではないが、同時に無闇と否定するものでもない。ちゃんとした人が占えば8割程度の確率で当たるだろうという程度に考えている。それにしても親父が見た最初の頃の人からは「外れた」というクレームはなかったのだろうか?

さて今日の読売新聞「人生案内」には「50代の主婦が20代の息子がパチンコにはまり込み借金をして困る。立ち直らせる方法はないか?」という相談が寄せられていた。回答は「ギャンブル依存症なので直す方法は自分の責任で何とかするという決意に尽きる。借金の尻拭いなど止めて息子に借金を払わせなさい」というものだった。

「サラ金からの借金とパチンコ」の問題については、私のブログでかなり前に論じたことがあるがこの関係は相当深い。現在パチンコ業界はかなり深刻な売り上げ低迷状態にあると見ているが、その大きな要因は「公安当局による射幸性の高いゲーム機の締め出し」と「サラ金の信用供与圧縮」である。

サラ金問題についていうと上限金利が法律で引き下げられることになったので、サラ金会社は信用力の低い人へ融資をしなくなっている。ところでサラ金の融資がゆるゆるだった時の「サラ金・パチンコ・北朝鮮の関係」を大雑把に言うと次のとおりだ。

サラ金の与信残高は当時7,8兆円でこれはパチンコ業界の営業利益に奇妙なことに符合する。無論サラ金から金を借りずにパチンコをしている人も多いのでサラ金の金が大部分パチンコに流れているということはないが、かなりの部分サラ金から流れていた。

先程の人生相談にあった様にサラ金の返済に行き詰った子供(あるいは配偶者)は親(あるいは他の配偶者)に救済を求める。従ってサラ金はそのような金蔓(かねづる)を持っている顧客には又融資を行っていた。

ところでパチンコ屋の経営者には北朝鮮系の人がかなりいて、パチンコ店から相当な資金が北朝鮮に流れていたことは公知の話である。以上のような資金循環を見てみるとパチンコ依存症とサラ金を通じて、ごく普通の生活を行っていた日本人から相当な資金が北朝鮮に流れていたということが分かる。

このような資金循環を政府が断ち切ろうとしている意思が、スロット等射幸心をあおるゲーム台の制限に現れていると考えてよいだろう。

人生相談を読むもう一つの楽しみは人の生活における色々な問題が、深い部分で社会全体の問題につながっていることを発見することである。

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