先週長女の誕生日だったので、三越でミスティのネックレスを買ってプレゼントした。と書くといかにも手際が良いように見えるかもしれないが、実は会社の近くの日本橋三越の中をウロウロしてようやくピンクゴールドのネックレスを見つけた次第である。そもそもミスティというメーカーがトレンディなのかどうかも知らないが、没個性的なデザインなのでそのネックレスを選んだ訳だ。
女性もののアクセサリーを一人で選ぶなどということはここ何年とないことである。娘と同行して腕時計をプレゼントしたことはあるが、一人でアクセサリー売り場の店員さんと対応すると勝手が違う。
ショーケースを見ていると若い店員さんが「出してお見せしましょうか?」と声をかけてくれるが「どなたへのプレゼントですか?」とは私から言い出さないと聞かない様だった。(2,3の売り場の話なので一般化できるかどうか知らないが)
中年の男性がアクセサリーを買うケースは「妻に送る」「娘に送る」という以外に「女友達に送る」という場合もあるだろう。アクセサリー売り場ではそんなケースを想定してお客さんが言い出さない限り誰へのプレゼントかを聞かないことにしているのかもしれない。というのは下司のかんぐりだろうか?
ところで娘と父親の関係というのは中々難しい。娘達が私のことを心底どう思っているかは分からないが、多少鬱陶しさと圧迫感の様なものを感じているのではないか?と私は考えている。
向田邦子が自分の父親を語っている文章がある。「私は、父を偉いと思ったというのは全然なくて、父親みたいなあんなうるさい男とは、結婚したくないと思っていました。好きじゃなかったし。・・・・実際には、私と性格がちょっと似ていたものですからね。父も私をうとましく思っていたらしいし。自分の欠点を見せつけられるように思ったんじゃないでしょうか。」(「MORE」昭和55年7月号)
「向田邦子の父敏雄は生命保険会社に勤めた人で、体が大きく家庭を大事にし子供たちを厳しく躾け、強い男だった」(小林竜雄「向田邦子の恋のすべて」)
私は向田邦子の父のように厳しい躾けをした訳ではないが、娘達から見ると「強い男」には見えるかもしれない。
娘達は男性の多い職場で働いている。上司やその上司の部長、役員皆男性である。仕事上の不満やストレスのかなりの部分が上司からの指示や命令によるものとすれば、娘達の中に潜在的に男性特に職場で力を示す様な「強い男性」に反発する気持ちが募ることは容易に想像できる。
前述の「向田邦子の恋のすべて」によると向田には年上の既婚男性と不倫の恋があったそうだ。その相手の人は父親とは異なり「ずんぐりむっくりしてやさしい」人だったということだ。
ネックレス位では私の優しさは届かないだろうか?