金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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中国の海外投資自由化を歓迎する

2007年05月14日 | 金融

先週金曜日に中国は、長年待ち望まれていた中国の海外投資自由化に踏み出した。これは中国の銀行顧客が香港証券先物取引委員会が認可した海外株式ファンドへの投資を認めるというものである。

これにより外国のファンドマネージャーは中国本土に事務所を設けることなく、中国の2兆ドルという銀行預金市場にアクセスすることが可能になった。

現在のところフェデリティ、キャピタル、ヴァンガードなどの世界的な資産運用会社は中国の銀行や証券会社をパートナーとして、少数持ち分を出資するパートナーシップを作り資産運用業務を行なっている。しかしこの自由化に伴い、中国本土に拠点を構えていない残りの資産運用会社も積極的に業務拡大を狙うと見られる。

私は中国の海外投資自由化を幾つかの点で大いに歓迎したい。まず短期的には銀行預金か中国国内株に向かうしかない個人資金の投資先を拡大することで、中国国内株の過熱状態を緩和することができる。つまりバブルの崩壊を未然に予防できるということだ。

次に中国の個人投資家が国際標準の投資スタンスを学ぶチャンスを得ることができることだ。これも中国国内株式市場の異常な過熱を緩和する効果がある。

次に一般中国人の国際感覚を高める効果があるだろう。これは長期的に見て緊張緩和に貢献するだろう。

金融業務の面から見ると、国際的な資産運用会社に大きなビジネスチャンスを与える。しかし中国人は今の日本株市場に大きな魅力を感じるとは思わないので、日本の資産運用会社には今のところ大きなメリットはないだろう。

最大の理由は中国人は基本的に大国主義者であり、アメリカが好きなのである。また共産党や企業の幹部の多くの子弟がアメリカの大学院に学んだり、米国で働いていることも大きな理由だ。

一方中国人は米国ほど日本に親近感を持っていない。また投資の観点からは何と言っても日本の金利が低すぎるのである。これでは中国人の投資意欲は沸かないだろう。

政府は東京証券市場の復活を掲げているが、まずその最初の大きなチャレンジは自由化される中国マネーをいかに取り込むか?ということだ。中国マネーを取り込むために金利を引き上げるというのは、本末転倒もはなはだしいが、金融機能と株式市場の正常化に向けてもう少し金利を引き上げても良い時期に来ていると判断する。

さもないと中国マネーを取り込むどころか、日本の個人マネーも益々海外投資に向かい、日本株市場はサイドラインに置かれたままになってしまう。

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