新「ミケーレの蒼き仮面」第四章６８
「ウトー、笑ってる場合じゃないぞ。
それから、
カマキリ鳥たち、
ちょっとこの少年の相手をしていてくれ。
イモは後で王様に献上すると言っておいて、
後は適当にな。
で、それから、
ペーだけをここに呼んできてくれ」
アニーは、
カマキリ鳥たちが合体して変身した老婆にそう命令した。
「かしこまりました。
では」
その少年が連れていかれ、
代わりにペーがやってくると、
アニーはペーに先程の少年の話を軽くした後、
声をひそめ、
「いいか。
俺たちがもしここに来なかったら、
この後、
今の国王バカなんとかが、
そこのボロ家のどこかに隠れている村長の息子のアホなんとかに
クーデターを起こされて殺されて、
アホなんとかの時代になるはずだ。
実際、歴史はそうだからな。
だけど、
あの２世を見る限り、
アホなんとかを国王にするわけにはいかない。
そこまではいいな」
「わかってるよ。アニー」
「はい」
アニーの言葉にウトーはしつこいと言った表情で、
ペーは普段どおりに返事すると、
「問題は、
バカなんとかという国王をどうするかだ。
俺は最初はここの村にアホなんとかという初代国王がいると思ったので、
そのアホなんとかだけどうにかすればいいと思ったんだが、
もしかすると、
バカなんとかという国王が人類滅亡の鍵になるかもしれないからな」
「アニー、
バカなんとかだから、バカなんじゃないの？
それよりさ。
どっちも追放して、さっきの勇敢な子を国王にした方がいいんじゃないかな」
アニーの意見に対し、
ウトーがようやくその気になり、自分の意見を言うと、
「いいか、ウトー、ペー。
アホなんとかがこの後国王になるということは、
あの少年よりアホなんとかの方が強いのかもしれないし、
あの少年が村長ではなく、
バカなんとか国王にイモを献上したい
というくらいだから、
バカなんとかは意外にいい奴で、
あの少年はバカなんとか国王に味方してやられてしまうのかもしれない。
だからな」
アニーがそこまで話すと、
「アニー、それなら簡単じゃない」
と、
ウトーはアニーを制してそんなことを言いだしたのだった。
（続く）
「そして３人しかいなくなった？」７７４
「また、ごめんなさい。
エミも
パパとママとは別れたきり会ってないから気持ちわかる。
でも、
ここのおにいちゃんやおねえちゃんは
凄く優しいからそんな悲しみもすぐ忘れるわよ。
エミ、楽しそうでしょ」
エミがその動物が泣き出した事情を察して
笑顔でそう話すと、
「うん！
おねえちゃんもそうなんだ。
でも、おにいちゃんがそんなにいるからいいじゃない。
僕にはおにいちゃんもおねえちゃんもいないんだ。
でも、がんばる」
と、
長い前の方の手のようなもので目を拭うと
その愛らしい顔をあげてからそう言った。
すると、
エミが、
「あのねえ。
一緒にいるの。
本当のおにいちゃんじゃないのよ。
エミもひとりきりになったんだけど、
色々なとこ行ってる間に一緒になっただけ。
だから、同じよ」
と、
エミが説明したが、
その動物には理解できないようだったので、
横から信長が、
「俺たち、みんなそうなんだ。
本当の兄妹じゃないんだよ。
で、
君のことなんて呼んだらいいの？」
とだけ言うと、
「そうなんですか。
じゃあ、僕もおにいちゃん、おねえちゃんと呼んでいいんですね。
あー、
その前に僕のことは、
桃太郎と呼んでください」
と、
信長の横にいる秀吉が
思わずにやっとしてしまうことを言い出すと、
「じゃあ、桃ちゃんでいいわね」
と、
エミが笑顔でそれだけ言うと、
ケンシロウが虎之介に何かこっそり囁いたのだった。
（続く）
サクラナ外伝フォー「来客」
そして、しばらくすると、
あおむの常連の７、８歳くらいの男の子
とその母親が予約なしに店に入って来て、
「こんにちわ！
ごめんなさい。予約してしなくて。
今大丈夫かしら？
近い時間に予約が入っているなら、
出直してきますけど」
と、
母親が言ったので、
「大丈夫だすよ。
本当は今日は僕は非番だっただすからな。
だすが、
何かあったんだすか？」
と、
あおむがかなり髪が伸びかけている子供を
ちらっと見てから母親の方見ると、
「授業参観、明日なのよ！
この子ったら、いつもより早く帰ってきたと思ったら、
明日授業参観だから午前中だけなんだ
なんて、今日になって言うものだから、
この髪じゃみっともないから、
あおむさんにお願いにきたわけ。
電話をして行くより、直接の方が予約が入っていても
その隙間にでもカットしていただけるかなと思って」
と本音を話し出すと、
「僕もそうだっただすよ。
まだ、小さいからそんなもんだす。
だすが、
おかあさんは今日の明日で出席できるんだすか？」
と、
あおむが訊くと、
「ちょうど空いてる日だったし、
このとおり、先週タマキさんにカットしてもらたばかりだからよかったのよ。
このお店評判いいのに、最近、お休みなこと多いから助かったわ。
今日もタマキさんもサクラナさんもお休み？
もしかして、タマキさんどこかお悪いの」
と、
その母親が辺りを見回しながら心配そうに言ったので、
「そなことないだすよ。
身内が二人、重なって病気になってしまったもんだすから、
いろいろとご迷惑かけて申し訳ないだすな」
「いいのよ。それなら。
先週もいつもより元気なかったんだけど、
昨日、たまたま、タマキさんとすれ違ったんだけど、
あたしのことも気づかないくらい何か考え込んでいるようで、
しかも、今まで見たこともないような暗い表情してたものだから、
彼女、実は体調でも悪いのかなあと思っていたのよ。
あおむさんやサクラナさんも入院してるでしょ。
さっきもお話ししたけど、このお店の前を通るとき休みの日が多いので
心配してたの。
あら、ごめんなさい。
余計な話しをして」
おしゃべりなその母親の話を聞いて、
あおむは余計不安になったが、
ウメナが男の子を椅子に座らせて、カットの準備に既に入っていたので、
その母親がいつそんなタマキを見かけたのか訊くことなく、
「そなことないだすよ。
だば、始めるだすかな」
と、
あおむは作り笑顔でそう言ったのだった。
（続く）
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カミサン伝説？「謎の像１２５」
他の４人はかおむのそのメールをそれぞれ読むと、
一緒にいたあおむとマジメの母親は頷き合い、
マジメともとえはそれぞれ何か考え込んだ。
そして、
かおむのもとに、
あおむとマジメの母親からはすぐに、
了解しました。
というメールがかおむのもとに届いたのだったが、
マジメともとえからはその後数分経過してもメールの返信はなかった。
急いでいたかおむは、
メールが届いていない、あるいは気づいていない可能性を考え、
再度、同じ内容のメールを二人だけに送信した後、
あおむとマジメの母親には、
マジメともとえの了解待ちですので、もう少し、そこでお待ちください。
とすぐにメールを送信したのだった。
（続く）
新作ディープ（？改）レイカ編Ｂ１０７「安堵と笑いの後に」
新作ディープ（？改）レイカ編４６「もとめの選択」に続くＢ編です。
すると、
まず、例の黒いマスクを被った男らしき人物が
両手をわざとか後ろに隠して現れた。
そして、
その男は左手をゆっくりとそっと前に突き出すと、
その手が
見るからに作り物と思われる、もとめに少しだけ似た生首の髪の毛をつかんでいて、
何度かそれを見せつけるように動かしたので、
木太郎がまずその稚拙な生首を見て
思わず大笑いして声まであげてしまったのだった。
だが、
そのとき、
扉の向こうから、
「相変わらず、木太郎くんはバカねえ」
というもとこらしい口調の奇妙な声がした。
（続く）
新作ディープ（？改）「永久の自信と納得しない二人」
しかし、
木太郎もホウセイも永久の反論には納得しなかった。
「まず、
あの二人が、ヒトメちゃんがナイフを取られたことに関して嘘を言うのはわかるけど、
何で様子をうかがいに行った女子のことまで嘘を言う必要があるんだ。
ヒトメちゃんとチウメちゃんが
まだ嘘をついてることは、その様子からわかるけど、
そこまで嘘をつく必要はないだろう。
それがひとつの疑問。
まあ、
それはまだ小さい疑問の方だが、
俺が納得できないのは、
今の永久の推理だと、
レイカちゃんがああまで怯えていた理由の説明ができないはずだ。
ピンときてないようだから、
もっと詳しく話すが、レイカちゃんが偽物のナイフを所持していた理由は
今の反論で一応辻褄は合う。
だけどな、
スコップはともかく、
レイカちゃんは普通なら触りたくもないはずのもとめ先生が自殺に使ったナイフ
を持ち出してまでトイレの中でじっと隠れて怯えていたんだぞ。
だけど、
永久の推理では、
レイカちゃんがそこまで怯える必要はないだろ。
もとめ先生は１回自殺未遂をしているんだから、
２回目に自殺をしたとしても、
そうは驚かないだろうし、
ましてや、武器を持って逃げる必要もないし、
あんなに怯える必要もないからな」
と、
まず、ホウセイが再反論したのだった。
（続く）
新本編リメイク「４人のイモリとその先にあるもの」
４人はゆっくりと、
イモリのように這い蹲って前進した。
段々と遠のいて行くミカエルの不気味な笑い声が４人とっては前進の証でもあった。
「どうだ？
もう落とし穴はなさそうじゃないか？」
いつきが前だけじゃなく左右もスコップで叩いて周りに落とし穴がないこと
を確認してから言う。
「かもね。
でも、前を見ろよ。
ほら、また、大きな木が一本だけ」
エイタが苦笑いする。
「一難去って、また、一難だすな」
「俺は慣れたから言えるんだけど、
せっかくここまで来たんだから、
この体勢はつらいが、
このままの格好で木がよく見える位置まで、前進しよう。
そして、
その木を見てから、
左の方が道路に近いはずだから、
適当なところで、左折気味に進もう。
その後はそれから考えよう」
木太郎が一番イモリのような格好に慣れていたので、
そんなことを言うと、
「そうだな。
せっかく、ここまでがんばったから、
これで行くか」
先頭のいつきが言ったので、
「いつきがいいなら、俺はＯＫ」
「僕もだすよ」
こうして、
４人は落とし穴の間を抜けた後も、
イモリのように這い蹲ったまま前進した。
そして、
木が目の前に見えたかと思うと、
その背後の少し先には、
大きな木に隠れてこれまでは見えなかった１台の自動車があったのだった。
（続く）