S嬢のPC日記

2004年から2007年まで更新を続けていました。
現在ははてなで活動しています。

回想

2005年11月24日 | つぶやき
 姑が入院する病院に行く。車で行く。
 病院は、駅からバスを使わなければならない場所にあり、バスで多分30分近くかかると思う場所にある。
バス停までも10分ちょっとは歩かなければならない。
時折、疲れた顔で病院を出て、バス停を目指して歩こうとする方に声をかける。
「駅までお送りしましょうか。」

 10年以上前、娘が半年以上に渡る入院をしていたときに、わたしは免許は持っているが全くのペーパーで、免許を持たない人間と同じ状態だった。
車で行けばすぐ近くの病院に、電車とバスを乗り継いでいく。
幸い、病院の敷地内にバス停があったのだけれど、多分疲れた顔で帰宅のためのバス停に立っていると、同じような面会帰りの方に、時々声をかけていただいた。
「駅まで送りますよ」
バスを待つ時間以上に、気持ちがやわらかに助けられたことを、よく思う。

「駅までお送りしましょうか。」
 不審がられたことも、断られたこともなく、同乗していただく。面会という共通の体験が結ぶものかもしれない。
わたしは自分がそうして、他者の車に乗せていただいて、助けられた日々のことを簡単に話す。
話しながら、こみあげてきそうになるものを、気づかれないように、ぐっと抑え込む。
仕方のないことを仕方のないことと認識し、今やるべきことを優先しながら淡々と暮らしたはずのあの日々。
しかし実は、本当には淡々としていたものではなく、自分を助けるためにそう思い込もうとしていただけなのだったのではないだろうか。
10年以上の月日が流れてから、こうした小さなきっかけでふと気づかされる。

最新の画像もっと見る