これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

4月1日映画サービスデー

2012年04月01日 18時57分08秒 | エッセイ
(この記事には、映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』の一部内容が含まれておりますことをご了承ください)

 毎月1日は映画サービスデーである。吉高由里子ファンの娘が、先週あたりから『僕等がいた 前篇』を見に行く計画を立てていた。
「4月1日だったら、1000円で見られるんだよね。友達5人と行ってくるわ~」
「きっと混んでるよ」
「へーき、へーき」
 私も先日、映画に行ってきた。たまたま水曜日だったので、レディースデーで1000円となり、かなりのお得感があった。作品は『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』である。『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』も捨てがたかったのだが、アカデミー主演女優賞を獲得した、メリル・ストリープのサッチャーを見たいと思った。
 英国初の女性保守党党首、女性首相であることは知っていたが、「小さな政府」を目指した政策以外に予備知識はなく、元首相の人となりに触れることができた。
 サッチャー氏は、食糧雑貨商の家に生まれ、家業を手伝って成長する。遊びに出かける同じ年頃の女性を横目に、店の前を掃除して、つつましい生活をしてきた。学業のほうも怠りなく、オックスフォード大学に進学する優秀さを見せる。
 20代半ばで臨んだ最初の選挙には落選するが、その後、夫・デニスと結婚し、心の支えを得る。双子を生んだあと、30代半ばで下院議員に初当選し、政治家として活躍していく。当時、議会は完全な男性社会で、女性議員は非常に肩身の狭い思いをしたようだ。男性と戦い、自身を認めさせるまでに、相当なエネルギーを費やしたはずである。これも、最愛の夫がいたからこそ、できた芸当だったのかもしれない。
 臆病で腰抜けばかりの男性議員に腹を立て、保守党党首に立候補してからは、首相街道まっしぐらである。自信にあふれ、断固とした態度で演説を行い、人の心を動かしていく様は、まさに「鉄の女」に見えた。自身の主張は曲げないから、周りの男性たちが合わせていくしかない。このあたりは、サッチャー氏の活躍が小気味よく描かれており、胸のすく思いがする。
 政策に反対する民衆に囲まれても、顔色ひとつ変えず、正しいと考える道を選ぶ。これも、夫・デニスの存在が大きかったように思える。
 圧巻は、フォークランド紛争だ。イギリス領のフォークランド諸島へ、アルゼンチン軍が侵攻し占拠した事件は記憶に新しい。このとき、首相は奪回のために、ただちに軍を派遣する。あいにく戦局が悪く、艦艇を失い何人もの兵が死にさらされると、内部からも非難の声が出る。しかし、彼女は一貫して強硬な姿勢を崩さなかった。
 結果、2カ月後にはフォークランドを奪還するのだ。支持率は一気に上昇し、国民がいかに強い指導者を求めているかを如実に物語っていた。
 だが、人頭税の導入を機に支持を失い、辞職へ追い込まれることになる。それでも彼女は涙ひとつ見せなかった。サッチャー氏が泣いたのは、唯一……。
 いわば、政界を舞台にしたラブストーリーに、大変心が温かくなった。ぜひ、たくさんの方に見てもらいたい映画である。メリル・ストリープは、現役時代のパワフルなサッチャー氏と、老いて認知症を患う同氏の演じ分けが素晴らしい。さすがは、2度のオスカーに輝く大女優だ。
 
 映画サービスデーの今日、よりによって娘の体調が悪くなった。
「どうしよう、風邪をひいて頭が痛い。捻挫した足もうっ血しているし、今日はやめておこうかな」
 急いで友達にメールを送ったらしい。しかし、予想外の反応に戸惑っていた。
「やだなぁ、ウソでしょだって! 信じてもらえないよ~!」
 4月1日は、エイプリルフールでもある。去年、娘は「今度、引っ越すことになりました」というウソのメールを送り、友達をだましては喜んでいた。今年も、その延長と思われたらしい。
「くそっ、本当に具合が悪いんだってばよ~!」
 親としては、『僕等がいた 前篇』より、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』を見てもらいたい気もするが……。高校1年生には難しいか。



クリックしてくださるとウレシイです♪

※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする