先週の今頃は、ソメイヨシノが満開だった。我が家の桜も、雪が積もったように、ふんわりとした花びらで覆われていた。しかし、一週間経った今は、3割ほどしか残っておらず、葉桜となっている。
それなのに、娘は中学時代の友達を呼んで、花見をするとほざいていた。
「何人来るの?」
「15人」
「お昼は?」
「みんなで持ち寄るから、おにぎりだけ作って」
簡単に言われてしまったが、15人分のおにぎりを作るのは骨だった。いつもは、2合か3合しか炊かないお米を、7合も炊いたのだ。あとは、にぎって海苔巻いて、にぎって海苔巻いての繰り返しである。
おにぎりが終わらないうちに、インターホンが鳴る。
「こんにちは~!」
さっそく、女の子たちの登場だ。今日は、お互いの制服を見せっこする目的もありから、どの子も制服着用でやってきた。葉桜の下にレジャーシートを広げ、荷物を置いたあとは、花には目もくれず、けたたましいおしゃべりが始まる。
「なにそれ! 見せて見せて!」
「あーっ、アタシと同じだぁー!!」
「やだ~、おんなじ!? ガハハハハ!!!」
「キャーッ」
道路で遊んでいた、近所のチビっ子たちも、一体何が起きたのかと、開けっ放しの門から様子を伺っている。
「アタシはこれ持ってきたんだぁ」
「あはは、焦げてるじゃん!!」
「いいんだよ、うるさいなぁ!」
女の子パワーはすさまじい。15人も集まると、話し声すらかなりのボリュームになる。閑静な住宅街にとどろく高い声の応酬に、近所から苦情が寄せられるのではと心配になった。
とたんに電話が鳴る。呼び出し音がやけに大きく感じ、ドキドキしながら受話器を取った。
電話をかけてきたのは、2軒隣に住む夫の弟である。
「今日は、花見ですか?」
「はい、そうみたいです。……お騒がせしてすみません」
「いえいえ、構いませんよ。もし、大きなお皿が必要だったら、貸しますから遠慮なく言ってください」
苦情ではなかったことに安堵し、私は礼を言って受話器を置いた。
近隣への迷惑を心配する一方で、女の子パワーに吸い寄せられる者もいる。
「お父さん、ちょっと来て!」
娘に呼ばれ、夫が顔を出すと、招かれざる客が来ていた。
「変なおじいさんが入ってきて、『ネリマ48だ』とか言ってんの。追い出して!」
夫の姿を見たとたん、闖入者は逃げていったという。ボケたふりをして、女の子たちに近づこうとしたのだろうか。
平和になったところで、お昼である。私が一生懸命作ったおにぎりは、まずまず好評だったそうで、ひと安心だ。フランクフルトにサンドイッチ、ケーキなどもシートに並んでいた。
「バドミントンしよう」
「バレーボールもできるね」
食後は、いくつかのグループに分かれて遊び、夕方6時ごろまでいただろうか。暗くなってからは、桜と同じように散っていった。
「また来年」
帰りぎわ、合言葉のように、女の子たちが別れの挨拶を交わす。織姫と彦星は七夕にしか会えないが、この子たちも別々の高校に通っているから、桜の時期にしか会えないのかもしれない。
それにしても、騒々しい織姫たちであった。
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
それなのに、娘は中学時代の友達を呼んで、花見をするとほざいていた。
「何人来るの?」
「15人」
「お昼は?」
「みんなで持ち寄るから、おにぎりだけ作って」
簡単に言われてしまったが、15人分のおにぎりを作るのは骨だった。いつもは、2合か3合しか炊かないお米を、7合も炊いたのだ。あとは、にぎって海苔巻いて、にぎって海苔巻いての繰り返しである。
おにぎりが終わらないうちに、インターホンが鳴る。
「こんにちは~!」
さっそく、女の子たちの登場だ。今日は、お互いの制服を見せっこする目的もありから、どの子も制服着用でやってきた。葉桜の下にレジャーシートを広げ、荷物を置いたあとは、花には目もくれず、けたたましいおしゃべりが始まる。
「なにそれ! 見せて見せて!」
「あーっ、アタシと同じだぁー!!」
「やだ~、おんなじ!? ガハハハハ!!!」
「キャーッ」
道路で遊んでいた、近所のチビっ子たちも、一体何が起きたのかと、開けっ放しの門から様子を伺っている。
「アタシはこれ持ってきたんだぁ」
「あはは、焦げてるじゃん!!」
「いいんだよ、うるさいなぁ!」
女の子パワーはすさまじい。15人も集まると、話し声すらかなりのボリュームになる。閑静な住宅街にとどろく高い声の応酬に、近所から苦情が寄せられるのではと心配になった。
とたんに電話が鳴る。呼び出し音がやけに大きく感じ、ドキドキしながら受話器を取った。
電話をかけてきたのは、2軒隣に住む夫の弟である。
「今日は、花見ですか?」
「はい、そうみたいです。……お騒がせしてすみません」
「いえいえ、構いませんよ。もし、大きなお皿が必要だったら、貸しますから遠慮なく言ってください」
苦情ではなかったことに安堵し、私は礼を言って受話器を置いた。
近隣への迷惑を心配する一方で、女の子パワーに吸い寄せられる者もいる。
「お父さん、ちょっと来て!」
娘に呼ばれ、夫が顔を出すと、招かれざる客が来ていた。
「変なおじいさんが入ってきて、『ネリマ48だ』とか言ってんの。追い出して!」
夫の姿を見たとたん、闖入者は逃げていったという。ボケたふりをして、女の子たちに近づこうとしたのだろうか。
平和になったところで、お昼である。私が一生懸命作ったおにぎりは、まずまず好評だったそうで、ひと安心だ。フランクフルトにサンドイッチ、ケーキなどもシートに並んでいた。
「バドミントンしよう」
「バレーボールもできるね」
食後は、いくつかのグループに分かれて遊び、夕方6時ごろまでいただろうか。暗くなってからは、桜と同じように散っていった。
「また来年」
帰りぎわ、合言葉のように、女の子たちが別れの挨拶を交わす。織姫と彦星は七夕にしか会えないが、この子たちも別々の高校に通っているから、桜の時期にしか会えないのかもしれない。
それにしても、騒々しい織姫たちであった。
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