「戦争法案が伸縮自在の解釈ができることに戦争法案の根本的な問題がある。迷走する答弁が裏書きしている。安倍首相は早くも参院採決に言及したけれど、防衛大臣が明快に説明できない法案を成立させるわけにはいかない。」
法案が、憲法に違反する。そのことが基本的な法案と他の法体系との矛盾を作り出し、政府答弁が混乱し、混迷する最大要因となっています。嘘の上塗りと言いますが、国家が主体者として発動する武力行使において事前にこれだけの欠陥があるような法案が強行採決で採決されることなどは許されるはずがありません。
戦争法案を撤回、廃案にするしか道はありません。また、安倍、自公政権を退陣させることが必要です。
<信濃毎日新聞社説>安保をただす 防衛省答弁 迷走が映す法案の欠陥
法案を提出したのは政府なのに、担当大臣が中身の理解も整理もできていないことがまた露呈した。
中谷元・防衛相である。国会での答弁が迷走し続けている。
一昨日の参院特別委員会で、集団的自衛権の行使要件となる存立危機事態に関し、武力攻撃を受けた他国からの要請や同意がなければ事態認定をすることはない、との見解を示した。その4日前には「事態認定には必要ない」としていた。一方、集団的自衛権行使には要請が要るとも述べ、野党が批判していた。
軌道修正で沈静化を図ったとみられるが、整合性が取れない答弁とのそしりは免れない。
集団的自衛権は、密接な関係にある他国が武力攻撃を受けた場合、日本が直接攻撃されていなくても自国への攻撃と見なして実力で阻止できるものだ。他国の戦争に加担する恐れがある。
行使の判断基準の曖昧さがかねて問題視されている。安倍晋三首相は「総合的に判断する」と繰り返すばかり。政府の判断でいかようにも利用される懸念が強い。担当大臣の分かりにくい答弁は国民の不安を募らせている。
中谷氏のあやふやな答弁はこれだけではない。
一昨日の委員会では民主党の福山哲郎氏が「存立危機事態の際に米軍を後方支援する米軍行動円滑化法改正案に自衛官の安全確保の規定がない」とただした。
最初、中谷氏は「(規定は)ない」と明言。自衛隊員の安全は法案に明確に定めたとする政府側の説明と矛盾していると追及されると、「指針に必要な措置を盛り込んで安全を確保する」と答えるのが精いっぱいだった。
議論がかみ合うことはなく、審議は紛糾。自民党の鴻池祥肇委員長が政府側に答弁の整理を求める場面があったほどだ。
中谷氏はこれまでも中東の過激派組織「イスラム国」への軍事作戦を行う有志国連合の後方支援について「法律上可能」と述べたり、核兵器の運搬を「法文上は排除していない」と答えたりし、野党から追及されている。
このように伸縮自在の解釈ができることに法案の根本的な問題がある。迷走する答弁が裏書きしている。安倍首相は早くも参院採決に言及したけれど、担当大臣が明快に説明できない法案を成立させるわけにはいかない。