イギリス内の国民投票が、先進工業国、EU加盟国の経済を大きく揺さぶっています。日本は、為替市場で日本円が急騰し100円を切るところに入っています。その結果、株式市場が急落しています。いずれにしても経済が、これだけ国境を越えて影響していますので、今後の経済状況の変化が起きることは確実です。経済のグローバル化と政治課題の調整の難しさが示されたこととなります。
イギリスに進出している日本企業は、EU向けの輸出が、減少することで操業率、生産の見直しが迫られるでしょう。しかし、イギリスが離脱することで受ける政治経済の変化は、イギリス政府が対応することとなります。移民排除の意見は、政治の右傾化と結びつき孤立化に結び付く問題です。
<時事通信>英、EU離脱へ=欧州分裂、大きな岐路にー残留派に僅差で勝利・国民投票
【ロンドン時事】英国の欧州連合(EU)残留か離脱かを問う国民投票は、23日午後10時(日本時間24日)から開票が行われ、BBC放送によれば、離脱支持票(日本時間午後1時現時点で149万票)が残留支持(現時点で139万票)を上回り、過半数に達する見通しとなった。
1973年に前身の欧州共同体(EC)参加以来、43年にわたる英国のEU加盟に終止符が打たれる。域内2位の経済大国である英国の離脱で欧州は分裂し、大きな岐路に立たされる。また世界経済に大きな混乱を招くのは必至だ。
この直撃を受けた東京外国為替市場は大混乱に陥り、英ポンドは売りが売りを呼ぶ暴落状態となった。一方、「安全資産」とされる円に投資家の資金が逃避し、対主要通貨で急騰。株式市場は全面安の展開だ。
当面の焦点は残留派を率いたキャメロン首相の進退となる。首相は離脱となっても辞任しないと明言していたが、自ら実施した国民投票で屈辱的な敗北を喫した以上、首相の座にとどまるのは困難との見方が強い。
イングランドの地方部で予想以上に離脱派が強く、注目区だった中部サンダーランドでも離脱派61%、残留派39%で大差となった。残留派はロンドン、リバプール、マンチェスターなど大都市部やスコットランドで強みを見せた。残留派の女性下院議員ジョー・コックス氏が殺害された事件が残留支持を後押しする可能性も指摘されたが、伸び悩んだ。
今回の国民投票は、キャメロン首相が2013年、次期総選挙に勝利した場合に実施すると公約。昨年の総選挙で勝利し、今年2月のEU首脳会議でEU改革案に合意したことを受け、首相は残留支持を表明し投票に臨んだ。
残留派は「離脱は英経済に大打撃となる」と主張。離脱派は、域内の移動の自由の原則により流入するEU諸国からの移民の脅威を強調した。運動期間を通じて、双方の支持率は最後まで拮抗(きっこう)する接戦が続いた。イングランド労働者階級の移民増加への反発の大きさを残留派が見誤った可能性がある。投票率は72.2%だった。
最終結果は、中部マンチェスターの市庁舎で首席集計官が「朝食時間ごろ」(日本時間24日午後)にも発表する。