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ワニと読むミステリ(寅申の刻)
![]() | 寅申の刻〔ハヤカワ・ミステリ1844〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) |
ロバート・ファン・ヒューリック | |
早川書房 |
![]() | The Monkey and the Tiger: Two Chinese Detective Stories (Phoenix Fiction) |
Robert Van Gulik | |
Univ of Chicago Pr (T) |
読むと、注意深い観察が決め手です。
(ロバート・ファン・ヒューリック著)
ディー判事のシリーズはこれで最後だそうです。
中篇が2作品です。
最初の作品は、テナガザルがもたらした謎です。ディー判事が露台で涼んでいるとテナガザルが通りかかります。何かを握りしめているようすですが、よく見ると緑の高価な指輪を手の中に持っているのがわかりました。ディー判事はテナガザルの落とした指輪を拾い、そこからこの指輪の持ち主についての推理を深めていきます。
このあたりではあるまいかとディー判事が探してみると、そこには指を切り落とされた男の死体がありました。
身なりはそまつのようだが、どことなく金持ちであるような様子もあり、ディー判事は街に聞き込みに副官を送ります。思いがけない展開で、一件落着すると、うなってしまいそうです。
2作目は、黄河の氾濫によって取り残された山地での殺人と、迫りくる賊党の脅威に立ち向かうディー判事の知力が十分に発揮されます。ディー判事が宿を求めた田舎屋敷には若い娘がいたのだが、それが何者かに殺されて遺体はまだ田舎屋敷に安置されています。その娘の部屋に寝泊まりすることになったディー判事は、娘の残した琴を弾きはじめますが、そこへ娘の幽霊のような姿が現れます。不思議に思ったディー判事は、そこから思いもよらない事件の筋書きをひもといていきます。同時に、夜明けとともにこの田舎屋敷に攻め入ろうとしている賊党の攻撃を止めるための方策も考えなければなりません。凧を使うとはさすがディー判事の知恵はどんなときも冴えています。
これでディー判事のミステリは終わってしまいました。
■シリーズその他の作品
五色の雲
真珠の首飾り
柳園の壺
紅楼の悪夢
観月の宴
雷鳴の夜
南海の金鈴
白夫人の幻
北雪の釘
東方の黄金
紫雲の怪
江南の鐘
水底の妖
沙蘭の迷路
螺鈿の四季
いずれもディー判事の推理はすばらしく、腹心の部下たちの活躍も楽しく読めます。
主人公: ディー判事(判事)
場所: 中国
グルメ: なし
動物: なし
ユーモア: 小
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