三笑会

三笑会は、平成30年6月1日~陶芸活動と陶芸教室、喫茶室、自家野菜販売、古美術・古物商経営を総合的に活動していきます。

「最優先は建前に過ぎないのか?」

2021-11-27 23:20:56 | 日記
「最優先は建前に過ぎないのか?」

 外務省が賀上文代さんの情報公開請求を受け付けたのは令和3年2月1日で、実際に行政文書の開示が実施されたのは令和3年4月16日です。
 開示された行政文書の名称は、「List of Japanese Abductees Identified by Government of Japan and Missing Persons in witch the Possibility of North Korea Cannot be Ru1ued Out」と題するもので、取り寄せて確認するとEメールアドレスとウェブサイトにchosa‐kai(調査会)の文字が読み取れることから、これは特定失踪者問題調査会が作成した特定失踪者約470人分の英字版リストであるとの判断に至りました。
 外務省が開示した行政文書はこれだけということなので、賀上さんと私は、それなら外務省は全国の警察が捜査・調査している「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない行方不明者」約880名のリストを保有していないのか、或いは隠し持っているのかとの疑念を抱き審査請求の申立てをしましたが、令和3年6月25日付けで外務大臣は「本件審査請求を却下する。」との裁決を下しました。
 裁決の理由として、外務大臣は、「本件審査請求について、当省は、相当の部分の開示決定等において、本件開示請求の対象に合致する行政文書1件を特定した。しかしながら、本件開示請求は不服申立の利益がないことから、行政機関の保有する情報の公開に関する法第19条第1項に基づき、審査会に諮問しなければならない場合に該当するものとはいえず、本件審査請求を却下することが妥当であるとの判断をした。」としています。
 この裁決書を読んだ私たちの感想は、「審査請求が審査会に諮問されれば、本当に外務省は開示した文書だけしか保有していないのか否かが明らかになる。白黒がハッキリしないうちに決着をつけておかないと行方不明者約880名のリストを北朝鮮に提示していないことがバレて大変な問題になるから先手を打ったに違いない。」というものです。
平成26年5月に日朝ストックホルム合意に明記されている行方不明者問題、その問題解決に全力を尽くすといいながら、実際には北朝鮮任せで日本側からは行方不明者のリストを提示していないのであれば、これまで政府が国民に対して示してきた拉致問題解決のための方針や施策が単なる建前に過ぎないことになります。
また、行方不明者のリストの保有を認めれば、約880名の最後の一人まで解決を迫られることになり、それでは永遠に拉致問題は解決しなくなるおそれがあることから、外務省の悲願である日朝国交正常化は夢のまた夢となるので、行方不明者のリストの保有については白黒を付けないでおこうと考えたものと推察します。
 こうなると、政府拉致問題対策本部がホームページに掲げている「これまで認定している拉致被害者に限らず、すべての拉致被害者の安全確保と即時帰国を繰り返し要求しています。」、及び政府の「拉致問題は、最重要にして最優先課題」との謳い文句も疑わしい限りです。もっと言えば、日朝国交正常化を目指すとの方針も、オールジャパンという挙党体制を装うため、或いは質問主意書や情報公開請求を拒絶するための方便なのかもしれません。
 如何なる交渉も実現していない現状において、今なおこのような謳い文句を公言しなければならないのは、国家としての対面を保ちたい、また国内世論の反発を押さえたいのが理由でしょう。日朝交渉が途絶えている現実の姿を、拉致被害者家族にも、行方不明者家族にも、そして国民世論にも見せようとしない政府が発する自己保身のためのきれいな言葉に翻弄され続け、結局は何の捜査情報に接することなく、これら家族は失意のうちに人生を閉じることになると思います。
 我々は、政府の建前の裏に隠れている事実をつかみ、その事実に基づいて現実的な判断をし、実現可能な施策を国際政治の舞台で展開しなければなりません。最早、それが誰であれ、自己保身のためのきれいな言葉で現状維持を望むものは拉致問題から退場すべきではないでしょうか。