「ストックホルム合意における行方不明者」考
近々、阿南市の人権教育・啓発市民講座でストックホルム合意をテーマに講演する予定なので、行方不明者に関して整理をしてみた。
まず、全国の都道府県警察が、「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者」として捜査・調査を進めているのは、これまでに行方不明者届の受理等を通じて随時把握した行方不明者のうち、各種情報を総合的に勘案して北朝鮮による拉致の可能性を排除できないと判断したもの(現875名)をいう。
一方、民間の調査団体である特定失踪者問題調査会の定義する「特定失踪者」とは、原則として家族・関係者等から調査依頼があった「夜逃げをするような理由が全く見あたらないのに突然姿を消した人」で、「北朝鮮による拉致の疑いが完全には排除できない人」を指し、同会に調査依頼した行方不明者(470人前後)を対象としている。
この警察が捜査・調査する「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者」と、ストックホルム合意における「行方不明者」の関係については、有田芳生参議院議員が、平成28年4月11日付けの「日朝ストックホルム合意と菅内閣官房長官記者会見に関する第三回質問主意書」(質問第99号)で、「この答弁書にある「拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人」の中に、警察が捜査・調査している「「拉致の可能性を排除できない事案」に係る者」は含まれていると理解してよろしいですか。」と質している。
これに対し政府は、「平成26年5月の日朝政府間協議において、日本側は先の答弁書で述べた「拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人」に関する調査を要請しているが、前回答弁書における「「拉致の可能性を排除できない事案」に係る者」に関する調査を排除するものではない。」と答えている。
それとは別に、平成26年3月17日、北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI) 最終報告書は、日本人の行方不明(及び北朝鮮における人権)に関連した問題に取り組んでいるICNKの日本チームは、本委員会に対し、北朝鮮による日本人拉致被害者数は少なくとも40名、おそらく100名以上にのぼると証言したが、この中には政府が拉致被害者として認定した17名が含まれている。
以上のことをまとめてみると、ストックホルム合意における行方不明者には全国の都道府県警察が捜査・調査している「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者」(875人)が含まれており、この875人には特定失踪者(470人前後)が含まれている。しかし、国連COI報告書によると、北朝鮮による日本人拉致被害者数は少なくとも40名、おそらく100名以上(政府認定17名を含む)にのぼるということなので、行方不明者に含まれる未認定の拉致被害者の実数は875名よりはかなり少ないと考えるべきだ。
令和3年4月13日
救う会徳島 代表 陶久敏郎
近々、阿南市の人権教育・啓発市民講座でストックホルム合意をテーマに講演する予定なので、行方不明者に関して整理をしてみた。
まず、全国の都道府県警察が、「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者」として捜査・調査を進めているのは、これまでに行方不明者届の受理等を通じて随時把握した行方不明者のうち、各種情報を総合的に勘案して北朝鮮による拉致の可能性を排除できないと判断したもの(現875名)をいう。
一方、民間の調査団体である特定失踪者問題調査会の定義する「特定失踪者」とは、原則として家族・関係者等から調査依頼があった「夜逃げをするような理由が全く見あたらないのに突然姿を消した人」で、「北朝鮮による拉致の疑いが完全には排除できない人」を指し、同会に調査依頼した行方不明者(470人前後)を対象としている。
この警察が捜査・調査する「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者」と、ストックホルム合意における「行方不明者」の関係については、有田芳生参議院議員が、平成28年4月11日付けの「日朝ストックホルム合意と菅内閣官房長官記者会見に関する第三回質問主意書」(質問第99号)で、「この答弁書にある「拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人」の中に、警察が捜査・調査している「「拉致の可能性を排除できない事案」に係る者」は含まれていると理解してよろしいですか。」と質している。
これに対し政府は、「平成26年5月の日朝政府間協議において、日本側は先の答弁書で述べた「拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人」に関する調査を要請しているが、前回答弁書における「「拉致の可能性を排除できない事案」に係る者」に関する調査を排除するものではない。」と答えている。
それとは別に、平成26年3月17日、北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI) 最終報告書は、日本人の行方不明(及び北朝鮮における人権)に関連した問題に取り組んでいるICNKの日本チームは、本委員会に対し、北朝鮮による日本人拉致被害者数は少なくとも40名、おそらく100名以上にのぼると証言したが、この中には政府が拉致被害者として認定した17名が含まれている。
以上のことをまとめてみると、ストックホルム合意における行方不明者には全国の都道府県警察が捜査・調査している「北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者」(875人)が含まれており、この875人には特定失踪者(470人前後)が含まれている。しかし、国連COI報告書によると、北朝鮮による日本人拉致被害者数は少なくとも40名、おそらく100名以上(政府認定17名を含む)にのぼるということなので、行方不明者に含まれる未認定の拉致被害者の実数は875名よりはかなり少ないと考えるべきだ。
令和3年4月13日
救う会徳島 代表 陶久敏郎