雨上がりのツワブキ

陽射しが草原に照りつけているのに、小雨が降る。天気雨だ。北斎も絵心をそそられた「狐の嫁入り」だ。ふーん面白いなあと神社の裏の陽だまりを横目に散歩に出る。

山の斜面にそった「吉野街道」を御岳方面に歩く。細い生活路の山側には、石垣に守られた古い民家が点在している。石組みの間から顔を覗かせるさまざまな花を見つけるのも散歩の楽しみ。

今日は黄色が鮮やかなツワブキが目にとまる。この草は「たくご」という生薬としても利用されてきたと知る。茎や葉が打撲や火傷に効くという。フキと同じく茎を煮て「キャラブキ」にすることも。

実際に葉の形はフキに似ているけれど、「フキが夏緑性であるのに対して、ツワブキは常緑性である」と分けられる。何よりも葉のつやが異なる。フキがいわば和紙のおもむきだとすると、ツワブキはビニールコーティングした上質紙のようにつやつやと厚い。

葉も茎も花も、輪郭がくっきりしているから描きやすいかもしれない。今頃から11月までが花期といわれる。御岳遊歩道の民家の庭先にも咲き始めている。